12万円のプログラミング情報商材が炎上してWordPressがもらい事故

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プログラミングについて教える12万円の情報商材がひどいということがSNSなどで話題になっている。筆者の観測する限り、発端は下記のツイート。

この12万円の教材というのは、おそらくマナブというブロガー・アフィリエイターのプログラミング独立の完全ロードマップだろう。内容は次の通り。

1.PHPとSQLの基礎を理解しよう
2.jQueryの基礎を理解しよう
3.WordPressの基礎を理解しよう
4.SEOの内部対策を理解しよう
5.WordPressの自作テーマを作ろう
6.鬼のコーディング練習道場(10本)
7.ポートフォリオサイトを作ろう
8.受注できる見積書を作成しよう
9.工数管理の考え方を解説します
10.制作パートナーを探そう(デザイナー)
11.クライアント営業をしよう ※ここで月20万
12.営業パートナーを探そう(営業マン) ※月50万以上も可能
13.ブログでも発信を続けていこう

【公開】プログラミング独立の完全ロードマップ【月20万を稼ぐ道】

大意をまとめると、「これを読んでWordPressでサイト制作できるようになれば月20万円は固いよ!」ということなのだろう。この教材ビジネスは典型的な情報商材ではある。おそらくファンを多く抱えている人なのだろうし、そもそもこの界隈では「雛喰い」は一般的だ。

なんらかのビジネスモデル(プログラミング、アフィリエイト、ブログ、SEO、あるいはその全部)を行なっていた人が初心者向けにそのノウハウを提供し始める。「〇〇をすれば絶対に儲かります!」と喧伝し、人を集める。そんなに儲かるのならば自分で会社を興し社員を雇って事業拡大すればいいのでは、などとワンルームマンション営業に対して抱くような疑問をぶつけるのは野暮だ。事業をスケールをさせるのは本当に難しい。1,000万や2,000万を1億や2億にするのはとても難しいのだ。その点、インターネットととても相性のいい「教育」ならば、リスク——社員教育や管理コストの増大、ターゲットの変質——を放棄することができる。実際、この教材では成果をきちんとあげられない「顧客」が大半だろう。しかし、わずかながらでも成功する「顧客」はいるはずだ。説明は簡単。成功しなかったのは努力が足りなかったのだ。

教育とはそもそもそういうものだ。教育の聖性(教師は聖職者である)の裏には、育てる者の怯えと育てられる者の妄想が常に隠されている。

そういうわけで、筆者はこの情報商材自体については「情弱向けの悪どいビジネスだがプログラミング流行ってるしそういうものでは」という冷淡な感想を持っていたのだが、この情報商材に対する批判でなかなか興味深いYoutube動画があったので紹介したい。

この動画では「情弱ビジネスで12万の価値がない」という論旨なのだが、そのかなりの部分が「WordPress受託にそもそも価値がない」という主張に割かれている。動画を引用すると、なかなかパンチの聞いたワードがならぶ。

WordPressのカスタマイズ案件というのは「エンジニアとして低スキルな人でも十分対応可能な仕事」がほとんどなので参入している人が非常に多く 需要と供給のバランスによって 価格低下圧力がとても強くなってしまうため 低単価案件ばかりというのが実状です。

ある程度経験を積んだ レベルの高いWeb系エンジニアで 未だにWordPress案件を 請けている人というのは まずいないと考えて良いと思います。

WordPress案件というのは このキャリアパスの最初の段階で躓いて 良質なWeb系企業さんに ご入社出来なかった方が Web制作会社さん等で 「仕方なく携わる案件」です。

要するに、「WordPressで受託をやっている奴は雑魚で貧乏」ということだ。この動画を見て、来年になったら筆者の子供達は「やーいやーい、おまえの父ちゃんワールドプレス!」といじめられることになってしまうのかと震えたものだ。

この動画に対する筆者の意見としては……

  • ランサーズとかクラウドワークスみたいなクラウドアウトソーシング業界もしくは登録制の営業代行のような「限られた業界」の話に見える。人材関連の仕事をしていると見え方が違うのだろうか。
  • WordPress業界にもレベルの高いWeb系エンジニアはいるし、インフラ系事業者はかなりWordPressに親しんでいる。
  • Webサービス事業者 > Web系受託という図式は確かに給与ベースでは事実。しかしそれはWordPressに限った話ではない。React専業の受託会社よりFacebookのエンジニアの方が平均給与は高いだろう。WordPressでもAutomatticなどに入社するとそれなりの待遇を受けられる(はず)。
  • 情弱でさえ興味を持つ、それがWordPressの強みである。「自分のスキルが高いから沢山給与を貰えるはず」と思うのはエンジニアの思い上がりだ。誰かがお金にしてくれているから、給料が出るのである。

といったところだが、この一連の騒動に対するリアクションでWordPressコミュニティの一員として興味深いのは、まず「登場人物全員初見」といった印象を受けることだ。筆者も低スキル低単価WordPress業界に長くいるのだが、全員知らなかった。長期連載の漫画を20巻ぐらいから読み始めたような印象だ。まだまだWordPressコミュニティは島宇宙なのだろう。

また、ほとんど敵意を呼んでもよいほどのWordPress憎悪にも驚かされる。WordPressに親でも殺されたのかといった印象だ。なぜこのような憎しみが生まれるのかについては幾つか思い当たる理由があるのだが、低スキル低単価のWordPress業界の一員として、今後深く掘り下げていきたい。


というわけで、SNSゴシップをお届けした。昨今のプログラミングの隆盛とWordPressのシェア拡大に伴い、敵対的な言説も増えてくることだろうが、WordPress業界の見取り図を正確につくるためにネガティブな情報も積極的に取り上げていく予定である。ちなみに、12万円あるとCapital Pの会費が40年分払える。

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