昨日の朝、個人的にはビッグニュースが Twitter で流れてきました。
SkyVerge が Godaddy にジョインしましたと!
ということで、Tweet の中で紹介されている SkyVerge のリリースページを簡単に読み込んでみたいと思います。ちなみにこちらが GoDaddy のプレスリリースです。
個人的には、なるほど、そう来たか!という感じでした。automattic と WooThemes との合併の際は確かになるほどと思った買収のニュースだったのですが、個人的に今回はオープンソースソフトウェアにおけるビジネス展開の可能性を感じ取れるニュースでした。
SkyVerge とは
まずは、ご存知ではない方もいらっしゃると思うので、SkyVerge の説明を。
60以上の WooCommerce 拡張プラグインを WooCommerce の公式サイトで販売している会社です。実績としては100,000以上の開発者がサイトで利用しており、WordPress.org に公開しているプラグインでは310万ダウンロードを誇っているそうです。(上記プレスリリースの説明より)
現在、プレスリリースと私の知る限りのスタッフは30名程度で、リモートワークで世界各地に開発社員がいる会社です。そして、年に一回開発合宿として一箇所に集まって情報共有やコミュニケーションを取るという形です。そういう点では非常にautomatticと似ているのですが、大きく違う所が雇用形態(ちょっと言葉が違うかも)です。automattic は成果主義で働く時間では拘束しないのですが、SkyVergeは勤務時間が決まっていて時間によって働いていることを確認する形を取っているとのことです。創業者で CEO の Max Rice さんとは Woo Conf で簡単なご挨拶をした程度の面識ですが、開発者という側面と経営者としての側面をしっかりと持たれている印象の方でした。
また、Jilt などオートメーションマーケティングの一環としてメールサービス展開なども行っています。
私も少なからず縁がありまして、メンバーシップの日本語ファイルなどをコントリビューションの一環として提供させてもらっています。
GoDaddy とは
GoDaddy は CapitalP でも時折記事に出る会社なのでご存じの方も多いかと思いますが、簡単に(既存の言葉で)言うとレンタルサーバー会社です。しかも、世界で WordPress に特に強い会社のイメージがあります。以前から WooCommerce に準拠した仕様であったり、automattic とも業務提携的なビジネス展開(レンタルサーバー契約者にプランによって無償で WooCommerce 公式有料プラグインを使えるようにするなど)を行っています。また、近年(ちょっと具体的には忘れちゃいました)日本語対応を行って、世界展開を進めているイメージのあるサービスです。個人的には、利用リージョンがまだアジアにないので、早くアジアリージョンでの展開をして欲しいなと思っているところです。
ちなみにニューヨーク証券取引所に上場している会社です。
今回の買収で変わる所と変わらない所
基本的に全社員がGoDaddyに移行すると明記されていたので買収案件ということです。そのため、SkyVerge という会社自体は無くなるはずです。ニューヨーク証券取引所に上場している会社なので少し手続きに時間がかかるかもしれませんが、早急に実施されていくのではないかと思われます。SkyVerge という名前もサービスなどでは使っていないので、無くなるのではないかと思います。
では、現在の有料プラグインの利用者にとっては何か影響があるかどうかと言うと、両者のプレスリリースに明記していますが、今まで通りのサービス提供を行うそうです。これは、一安心ですね。
SkyVerge 社員に少し聞いてみた
友人の SkyVerge の社員に話を聞いてみたら、アジア地域に居る社員で「私も深夜に知ったばかりで、午前4時まで確認とかしていて寝不足なんだよ」とのことで(笑)、経営幹部のみで進めていた話のようです。まあ GoDaddy は上場企業ですし、確かにそうだなと。今から社員向けには順次説明があるようですが、基本的に体制は変わらないという説明があるので、不安は無いようで前向きに捉えることが出来ているという話を聞きました。個人的にも、今回の買収は前向きにとらえていいんじゃないかなと思っています。
そういえば、WooThemes が automattic による買収のときも、誰も知らなくて、コントリビューター同士の SNS 上のやり取りで、驚きはあったものの好意的な意見が多かった時に似ているなあ〜とふと思いました。
この買収について個人的見解
今回の買収は先にも書きましたが、個人的には良いのではないかと思っています。ただ、昨日プレスリリースされているのですが、株式市場では大きな動きもないので、市場からはそこまで評価がされていないのかなという感じです。
現在、WordPress に限らずオープンソースソフトウェアのビジネスをどう展開すべきかということが、特にこのコロナ禍の中で私は注目しています。特にネットショップに関しては3月から多くの開発会社が増えていると聞き及んでいますので、これはしばらくは続くと思っていますし、流通における EC 化率は日本でも25%以上にはなると私も含め多くの学者や経営者が予言していますが、これが加速度を増しているイメージがあります。明確なエビデンスがあるわけではないのですが。
また、GoDaddy は単純なレンタルサーバー会社から企業のパートナーになるサービスを展開すると公言しているので、今回の買収もその計画の一部で Jilt などが GoDaddy のサービスの中で特に EC のマーケティングをサポートするような形になっていくのではないかと思っています。
個人的には10月開催の WooSeshで Beka のクレジットが SkyVerge から GoDaddy にいつ変わるのだろうかとウォッチしたいと思っております。爆