WordPressプラグインには「ページビルダー」というカテゴリーが存在するが、もっとも人気のあるプラグインの1つ、Elementorが値上げを発表した。
以前のプランは1,000サイトで年間199ドルだったが、2021年3月9日からは新たに2つのプランが追加され、100サイトで年間499ドル、1,000サイトで年間999ドルとなる。以前と同様のプランを使い続けようと思った場合は999ドルになるというわけだ。
一番安いプランは49ドルなので、もっとも影響を受けるのは他人のためにWordPressサイトを作成するエージェンシーだろう。この値上げは以前からお伝えしているとおり、WordPressサードパーティービジネス界のトレンドである。GPLライセンスではサポートと継続的なアップデートをサブスクリプションで提供するモデルがもっとも一般的だが、エージェンシー、いわゆる制作代理店がサブスクリプション を一つ持っているからといってその代理店すべての顧客をサポートするのは、プラグイン・テーマの開発元にとっては割りに合わない。代理店の規模が大きいほど(=サイトの数が多いほど)多くの代金をもらう必要があるのは世の定めだ。
Elementorほど人気のあるプラグインがこうしたムーブをするということは、漫然とGPLライセンスで利用者を増やすことは得策ではないということを意味している。利用者の数が開発元の収益に比例しない限り、サポートで疲弊するのは目に見えている。このトレンドは今後も続くはずだ。どこぞのクラウドストレージ会社の例を見るまでもなく、「無限」「無制限」というプランが約束されるとは思わないようにした方がいいだろう。
なお、Elementorのブログにはコメント欄がついており、値上げに激おこなユーザーも見受けられる。1,000サイトで年間999ドルはそれほど高いとは思わないのだが、既存ビジネスで儲けが上がっていなければ、利益を削られる形になるので面白くないのだろう。
なんにせよ、WordPressのブロックエディターが進化するほど、ページビルダープラグインは値上げをしていかざるを得ない。しばらく苦しい戦いが続くだろう。Beaver Builderなどの他のページビルダーも同じことなので、ビジネス利用している方々は今後の動向に注意しておくに越したことはない。