WordPress のイベントと言えば、国内だとWordCampとWordBenchが代表的なもの。この他にもモクモク勉強会やWordFesなどがあります。WordPressのいいところのひとつがユーザーや開発者が集まって、実際に会って話を聞いたり知識や経験をシェアできることがあります。最近では、WordPress Global Translation Dayという世界中で同時多発的にWordPressやテーマ、プラグインの翻訳を行うイベントも開催されています。
海外の場合、WordCampの他に存在感が大きいのは、グローバルのWordBenchにあたるWordPress Meetupです。Meetup.com上の公式のWordPressアカウントがあり、その配下のグループによって世界中で開催されているのがWordPress Meetupです。基本的には、このアカウント配下でのMeetup開催実績がないとWordCampは開催できないことになっています(日本はWordBenchでOK)。
商業的な大規模イベントもたくさんある
ここまでに見てきたイベントはどれもコミュニティによる安価/無料のイベントです。私物化やトラブルを防ぐためのレギュレーションも多いものです。それらのルールの中には、個別の企業の利益のためであってはならないというものだったり、展示会のように企業の取引の場にならないようにするであったり、セッションの登壇者を選ぶときにスポンサーをスポンサーであるという理由で選ばない、といったものも含まれます。
そこで今回は、こうした公式的なコミュニティイベントの枠外にあり、WordPressに特化しているイベントをリストアップしてみたいと思います。
開発者のためのイベント LoopConf
LoopConf はまたの名を “WordPress Dev Conference”と言い、WordPressの開発者のためのイベントで、参加費はUS$599(約6万7,500円)です。2017年は、2月6日から8日までの3日かユタ州ソルトレイクシティで開催されます。
公式のウェブサイト https://loopconf.com を見ると、コンテンツは以下のようになっています。
1日目は豪華なハンズオンのワークショップ
1日目は11時から17時までのワークショップが2つ。講師役に配されているメンバーも豪華です。
- WP REST API と AngularJS を利用して直感的なインターフェイスを作る
- WordPress のカスタマイザーのよりよいUI
2日目と3日目はセッション
残りの2日間はセッションの日。以下いくつかトピックを抜粋します。
- 大規模メディアの https 対応
- パフォーマンス。測定
- ヘッドレスCMSとしてのWordPress
- コードレビューの重要性
- WP CLIコマンドの書き方
- WP プラグインに内在するUNIXの哲学
ちなみに前回(2015年。2016年はハリケーンで延期となった)の全セッションを Youtube で見ることができる。
WooCommerce のストアオーナー、開発者、マーケターのためのWooConf
WooCommerce に特化した年に一度のイベントで、2017年は秋にシアトルで開催される。こちらの価格もUS$600(約6万7,500円)。対象となるのはECサイトのオーナー、開発者、 eCommerceのエキスパートだ。
今年(2017年)のコンテンツはまだ発表されていないので、昨年のコンテンツをWooConf 2016 is coming: see what’s in store & get your ticket!で見てみると、
- WooCommerce のメンバーシップとサブスクリプション
- SEOを含むeCommerceのマーケティング
- 動画やSNS広告を使ってコンバージョンをブーストする
- 税、支払い、物流、セキュリティ
- 顧客とのやりとり改善。キラーコンテンツの作成
- WooCommerceのスケーリングとデバッグ
といった内容が並んでいる。スピーカーも、Matt Mullenweg, Chris Lema, Brian Krogsgardなどの著名な人たちが並んでいる。こちらも3日間で、セッション2日間、ワークショップが1日となっている。ワークショップの内容は以下の通り(昨年の)。
- 開発者向け
- RESTful WooCommerce
- WooCommerceのテーマ開発
- ストアオーナー向け
- マーケターを雇わずに効果的なコンテンツを作る
- 利益を生むための、シンプルなECサイトの広告
ビジネス、スタートアップ、フリーランスのための Prestige Conference
公式サイトによるとこのカンファレンスは、
Prestige は、フリーランス、アントレプレナー、ビジネスオーナー、デジタル分野のプロフェッショナルのために開催される 。ブランドを強くし、クライアントやカスタマーを得て、収入を倍増させ、コネクションを育て、もっと遠く、もっと高い場所を目指すためのインスピレーションを得るためのカンファレンス。
とある。テンションが高い。
2日間のイベントで、料金はUS$199だったようだ。そのコンテンツの一部は以下の通りだった。
- ModernTribeのパートナーが語る、より良く生きながらビジネスをするための会社作り
- スケールせずに成長する方法
- WordPressのテーマとプラグインのマーケティング。有効なものとダメなもの
- 卵をひとつのかごに入れちゃダメ
- 一貫性が評判を作る。覚えられ、尊敬され、紹介してもらえるためのブランド戦略
- 信頼とリスク
- 機会と厳選。Opportunityに出会い、つくり、最大化する
- 見積もりの哲学、技法、応用とスケーリング
WordPress + Economy: PressNomics
WordPress の経済圏をドライブさせるプロダクトやサービスを作り出す人たちがいる。PressNomicsは彼らがコラボレーションして、互いに学んで、リラックスするための3日間のイベント。
とあります。
今年は、4月6日から8日まで。チケットはUS$425(約4万8000円)。コンテンツはまだ発表されていないが、ウェブサイトには以下のスピーカーが並んでいる。
- 代表的なWordPressを利用したサイトを作るWP VIPエージェント 10up のCEO
- テーマショップ MOJO Themes, MOJO Marketplaceのファウンダー
- WP VIPエージェント Reaktiv Studiosのファウンダー
- コンサルタント Chris Lema
- Envato のWordPress Evangelist
- Pagely のセールスディレクター
- WordPress初心者のためのメディア WPBeginnerのファウンダー
- セキュリティ大手の Sitelockの社長
REST API カンファレンス “A Day of REST”
時折開催されているのイベントで、REST APIの開発や利用に話題が特化されている。ウェブサイトがいつも面白く、REST APIを利用して作られており、美しくて、かつ閲覧中のページで使われているAPIへのリクエストが常にフッターに表示されている。チケットの料金は$350(約4万円)の1日イベント。コンテンツは以下の通り。
- REST APIでサイトを作る
- BackboneとREST API
- React-ing WordPress
- ユースケース
など。
メディアとそのコミュニティから生まれた Post Status Publish
Post Status はWordPress の関連ニュースをウェブサイトとメール、ポッドキャストなどで配信するメディア。年会費を支払うとメールを受け取ったりSlackのグループに参加したりすることができる。このメディアが先日のWordCamp USに近い日程で実施したのが Post Status Publish。料金はUS$149(約1万7000円)だが、Post Status のメンバーシップクラブにも年額$99ドルで参加している必要がある。
このイベントの目的は、
Post Status Club のメンバーになるような人たちはWordPressのイベントに参加しつつも、ほぼすべての時間を廊下で過ごしてるんだけど、このイベントはその廊下で起こっている何かをメインステージに載せようということだ。
とあります。なるほど。僕はこのイベントに参加して、たしかにQ&Aなどは盛り上がっていたような気がします。が、このコンセプトは知らなかった。。。もしかしたら椅子の配置を(ステージ/観客)型から変えてみるなどしてもよかったのかもしれない。。難しいですね。
以上、6つをリストアップしてみました。共通する点、面白いとおもったのは、
- 複数日程に渡ることが多い
- サイトを見ると、バックアップする企業がついていることもある
- 価格帯が数万円でなかなかのお値段
- ビジネス、開発、コミュニティで活躍する人たちが登壇している
- コンセプトがはっきりしているものが多い
- 商売しようぜ!ちゃんと儲けようぜ!という気概を感じる
というようなことでしょうか。日本でもこういうのが増えるといいですね 🙂
おまけ
PluginsCon というテーマとプラグインをテーマにしたカンファレンスということでウェブサイトもツイッターアカウントもあるものの、どうもインチキなんじゃないかというイベントもありました。
スピーカーに著名な開発者を並べてUS$300のチケットを販売しているのに、Twitterで「いや、オレ出ないけど?」「これなあに?私の名前を削除してください」とスピーカー(候補?)に言われてしまうという。。