サイトアイコン Capital P

Wixの使用感をWordPressと比較する

WordPressは4.7以降、そのマイルストーンに「エディタ」「テーマカスタマイザー」の改良を掲げている。これはおそらくサイト作成サービスを意識してのことだ。米国のマーケットではおそらく次のサービスがある。

Capital Pではこのうちからローカライズが進んでいるWixとJimdoを取り上げていきたい。

第一回となる今回は、Wixを紹介する。

Wixとは?

Wixは「誰でもかんたんにホームページが作れる」と書いてあるとおり、ホームページを作るサービスだ。WordPressが「ブログ」「CMS」「アプリケーションプラットフォーム」などとそのアイデンティティを変遷させている一方、このメッセージはシンプルである。

Wixのビジネスモデル

Wixは無料ではじめることができる。もちろん、フリーミアムモデルなので、なにか特別なことをやりたいと思ったら有料になる。プランの詳細はこちらで確認できるが、有料でないとできない重要なことは次の2つだ。

また、追加機能(WordPressでいうプラグインは「アプリ」と呼ばれる)の多くは有料で追加できることになっているが、プレミアムプランを申し込むと追加料金なしで使えるようになるものが多い。バンドルパックといったところだろうか。

Wixの料金ページ。機能や容量など、様々なプランから選ぶことができる。

いわゆる一般的なホームページ機能(ECやお問い合わせフォーム)はアプリを使えば実現する。

Wixのルック&フィール

操作している様子をスクリーンキャストで収録したので、軽くみてもらいたい。

Wixはデザインテンプレートが目的別に揃っている。これはWordPressの公式テーマディレクトリにはない特徴だ。たとえば、「フリーランスの編集者用テーマ」をWordPressの公式テーマディレクトリで見つけるのは難しい。

テーマのクオリティは高く、どれもよくデザインされている。ただし、これはWixに限った話ではないのだが、Webフォントがデザインに使用されているため、日本語にすると平板な印象になってしまうのが難点ではある。

UIも筆者が思っていたほど軽快ではなく、たとえば日本語入力をするときに耐え難いほど遅くなることがままある。ローカライズも若干不十分なようだ。

Wixの対象者

筆者はWordPressの愛好者なので、おそらくWixに乗り換えることはないだろうが、次のような方はWixでも良いのではないだろうか。

ただし、Wixによるホームページ作成は筆者が想像していたよりも難しかったので、WordPressが目標としている「カフェの店長がホームページを持てる」という状況はかなり遠いだろう。おそらく、Wixでホームページを作成する「Wix代行業」のような存在が必要になるはずだ。

独自ドメインはプレミアムである必要がある

値段に関してWordPressと比較した場合、レンタルサーバ代がどうせ500〜1,000円かかること、無料でSSLを提供しているサーバ会社がほとんどないことなどを鑑みると、Wixはプレミアムプランでもかなりお得だと言える。

WordPressの方が優れているケース

筆者はWordPress愛好者なので、その点は割り引いて読んでいただきたいのだが、やはり次のようなケースではWixよりもWordPressの方がいいだろう。

トラフィックが異常に多い

ある程度の規模のサイトだと、月間1,000万PVを超えることはザラだが、こういう場合、サーバの負荷よりも転送量などが問題になる。Wixは転送量無制限をうたっているが、さすがに一定規模になると「ちょっとちょっと」とコンタクトを取ってくるだろう。

コンテンツの更新が多い

「ブログを書く」つまり「コンテンツを量産する」という点に関しては、WixよりWordPressの方が書きやすい。筆者がWordPressに慣れているという点を差し引いても、Wixにおけるブログの地位の低さ(あくまでおまけ)を考えると、妥当な意見だろう。

また、複数の著者による更新が想定される場合、カスタムフィールドをきちんと設定してあるWordPressの方がトレーニングにかかる時間を含めても容易と言えるだろう。

特殊な要件が存在する

大手メディアサイトに特定の方法でコンテンツをアップロードしたり、特定の形式のRSSを吐き出しつつBasic認証で保護したり、コンテンツを特定の形式にパッケージ化したりするような場合、Wixはおそらく対応できないだろう。

結論

以上、簡単にではあるが、実際にWixを利用してみて、WordPressとの差を確認してみた。

いわゆる「エンタープライズ用途」では、WordPressの方に軍配があがる。ただし、「カフェの店長向け」という用途では、Wixのインパクトはかなり大きい。

WordPressを支えている膨大なユーザーベースが、多くの小規模なホームページであることを考えると、Wixが強力なライバルであることは変わりないだろう。そうした「小規模なホームページ」をクライアントにしている方は、ぜひWixを研究してみてほしい。

次回はJimdoを紹介する予定だ。他にリクエストがある方はコメントなどお待ちしている。

モバイルバージョンを終了