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[PR]書評『世界一わかりやすい WordPress 導入とサイト制作の教科書』

大阪にあるJUSO Coworkingの深沢さんから『世界一わかりやすい WordPress 導入とサイト制作の教科書』をご恵投いただいたので、その感想を共有させたいただきたい。

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免責事項

さて、こうした書評を書くにあたって、小説家でもある筆者は必ず免責事項を書くようにしている。

上記の点を差し引いた上でレビューを読んでいただければ幸いである。

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執筆陣について

本書はWordPress関西コミュニティのメンバーが執筆陣に名を連ねるWordPress入門書である。メンバーの多くはコアコントリビューター・WordCamp実行委員・WordBenchモデレーターなどを兼任する生粋のWPerで、その意味でも内容の正しさに関しては信頼を置いてよいだろう。

GPLライセンスに関する記載にも間違いは見られず、過不足ない説明がなされていた。

本書の構成

本書の構成は下記の通り。

  1. WordPressをはじめよう
  2. 必要な環境を整えインストールする
  3. 初期設定をしよう
  4. コンテンツの追加・編集とナビゲーションの設定
  5. テーマとプラグインによる外観カスタマイズ
  6. プラグインによる機能の追加
  7. ローカル開発環境をつくろう
  8. テーマ作成の第一歩〜PHPとテーマの基礎
  9. テンプレートファイルの作成
  10. 各種テンプレートファイルの作成
  11. テーマカスタマイザーの実装
  12. WordPressを本番環境にデプロイする
  13. サイトの広報と集客
  14. サイトの運営と管理
  15. もっとWordPressを使いこなす・学ぶ
  16. 付録:逆引きWordPress関数辞典

上記をご覧の通り、WordPressの開発にまつわる諸々の情報が一通り揃っている。中にはテーマカスタマイザーAPIのような、高度な情報も混じっているが、初心者から入門し、上級者を目指すにあたってのロードマップは一通り揃っている印象だ。

特にサイト運営(アクセス解析、検索エンジンインデックス、ソーシャル共有、バックアップ)について紙幅をさく入門書は少ないので、それについてきちんと書いてあるのは特筆すべき点だ。

この本が偏っている点

カート・ヴォネガット・Jrは『スローターハウス5』において、登場人物に次のように語らせている。

人生について知るべきことは、すべてフョードル・ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』の中にある、と彼はいうのだった。そしてこうつけ加えた。「だけどもう、それだけじゃ足りないんだ!」

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そう、すべてを一冊の本で書くことはできない。したがって、本書にも当然偏りはある。それは別に悪いことではない。

サーバーがwpXである

こうした入門書でいきなり「nginxのインストール」だとか、自宅サーバーやクラウドなどの利用をすすめることはなく、普通はなんらかのレンタルサーバーを紹介するのだが、本書ではwpXでのインストール例が紹介されている。

このことに関する筆者の意見は、「wpXはWordPressで利用するレンタルサーバーとして最良の選択肢の一つ」である。

理由は下記の通り。

WordPressが推奨環境として掲げている「PHP7以上、MySQL5.6以上、SSL」を満たすレンタルサーバーで初心者にとって常識的な価格(月額1,000円未満)を提供している日本国内のレンタルサーバーは、筆者の知る限り、下記3つしかない。

そして、この3つは資本関係などを含めると、実質1.5社ぐらいに丸めることができるので、ここで言及されなかった他社さんはがんばっていただきたい。異論がある方は個別にメッセージをいただけると幸いである。

ローカル環境がMampである

MAMPはローカル開発環境のツールの一つである。Xamppも似たようなものだが、Macユーザーが執筆陣の大半を占めているのでいたしかたないといったところか(※MAMPはWindowsでも利用できる)

我らが宮内のVCCWや、WordPressコミュニティではデフォルトとなっているVVVなどを紹介するのは確かに初心者にとって敷居が高いだろう。

もし英語の苦手意識がないのなら、筆者はCapitalPでも紹介したLocal by FlyWheelをお勧めする。

コミュニティの要望が強く反映されている

執筆陣がWordPressコミュニティで精力的なユーザーが多いということもあり、コミュニティの要望を色濃く反映している。それはたとえば、GPLライセンスに関する詳細な説明がある一方で、themeforestのようにWordPressコミュニティと仲の悪いテーマ・マーケットプレイスをスルーしている。

情報を得るにあたって、「なにが書かれているか」と同じぐらい「何が書かれていないか」は重要なので、その点は意識しておいてもよいだろう。なぜFacebook広告やGoogleのリスティングで毎日のように見かける「国内トップのWPテーマ」「信頼と実績のSEOテンプレート」「SEOに強いブログ作成テンプレート」がスルーされているのかについて調査してみると、いろいろわかるのではないだろうか。

タイトルが「世界一わかりやすい」である

これは執筆陣というより、技評の編集の方に言いたいのだが……ソースはなに? IT業界でこうした「根拠なきランキング」を掲げるのは、どちらかというと愚策である。情弱を騙せればそれでいいのだろうか。

なんらかの計量的裏付けができない限り、「世界一」を掲げるべきではない。「ポスト・トゥルース」が危ぶまれる時代において、「(゚д゚)バーカ」の誹りを免れない。

以上、本書についてレビューさせていただいた。筆者の評価は⭐️3つ。本来なら⭐️4つだったが、タイトルが調子こきすぎなので、減点させていただいた。

蛇足だが、おそらく本書のターゲットはCapitalPを見ていないと思うので、このレビューを読んで面白そうだと思ったWordPressラングラーの読者諸兄はぜひ初心者に勧めていただければ幸いである。

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