賢明なる読者諸兄はWordPressで有料会員制サイトを作りたいと思ったことはあるだろうか。筆者は先月から家庭内でお小遣い制が導入されたため、その思いを強くすることになった。
さて、WordPressには山ほどプラグインがあるので、有料会員制サイトを実現することはできるのだが、まずはWeb上で有料会員サイトを運営するにあたって、そもそも提供すべき価値はなんなのかという観点から、プラグイン選定および開発の指針を立てることから始めたい。
トレンドとしてのサブスクリプション
色々と前提を端折っていうと、現在サブスクリプション(定期課金)は流行っている。NetflixやHuluのような動画見放題サイトを始めとする、「最近の目立ってるビジネス」の多くがサブスクリプションを採用している。そのビジネスとしての可能性については「ネットフリックスの値上げから考えるサブスクリプションモデルの適切なKPI設定」という記事を参照されたし。
これはWordPress業界でも同じで、これまではテーマなどの「売り切り」が多かったが、徐々にサブスクリプションモデルに切り替えるところが増えている。なおかつ成功しているプレイヤーは値上げに踏み切るケースもある。カスタムフィールド製造業からホスティングやSaasなどのサブスクリプション型のビジネスモデルへ切り替えようとしているWordPress業界人も多いだろう。
そうしたトレンドにおいて、「有料会員制サイト」はコンテンツ提供者(つまり、WordPressを使う人)にとって、サブスクリプション型モデル移行への一典型例である。
Webを起点に提供可能な有料会員制サービスの種別
では、Webを起点にして提供可能なサービスとはなんだろうか。色々あるのだが、今回は「WordPressで」という前提条件をつけておく。ざっと挙げると次のようなものがあるだろうか。
- 会員限定コンテンツ: テキスト、動画、画像、ファイルなど。Capital Pが採用しているのはこれで、なおかつ需要も多いと思われる。
- オンラインサロン: Poststatus.com では、有料会員すべてがSlackに招待され、話すことができた。ほか、Facebookグループなどを利用している人も多いだろう。
- イベント: イベント自体がわりと労力がかかる上に収益性も高いので、多くは芸能人のファンクラブと同じく、会員の割引や優先招待となるだろう。
その他、通信販売の定期購入(ex. 健康食品、化粧品)もあるが、これは「有料会員制サイト」とは少し異なるので、割愛。ちなみに、WooCommerceとWooCommerce Subscriptisons を組み合わせると簡単にできる。
なにをするにせよ、多少のカスタマイズは必要になってくるが、会費が高額であるほど人力でなんとかできるので、最初の価格設定は重要である。成功しているSaaS企業の価格設定とは?そして「死の谷」を避ける方法を参考にしてほしい。
たとえば、「有料会員はSlackに招待する」という機能も、月額100円で1,000人が入退会を繰り返すなら自動化したいだろうが、月額10,000円が10人ならしばらく手動で頑張れるだろう。
提供するサービスに注意
余談ではあるが、有料会員制サービスを作る場合、そのサービス形態に関しては注意が必要である。たとえば、「月額100,000円でWordPressサイトを作ります!」みたいなものは「労務の提供」にあたるので、決済代行サービスの許可が下りない。
これに関してはStripeの禁止業種が参考になる。Capital Pの会員制サービスでは色々と提供していこうと考えているのだが、「コンテンツのダウンロード」があくまで主体であり、その他はすべて付帯的な価値となる。若干屁理屈めいているが、こうしないとGumroadは使えないのだ。
有料会員制サービスを構築するために使えるプラグイン
さて、上記のようなものを実現するために使えるプラグインを紹介しよう。なお、筆者はすぐに自分でプラグインを作りはじめる車輪再発明マンなので、以下に紹介するものは二次情報が大半であることをお断りしておく。
Restrict Content Pro
Pippin謹製、コンテンツの閲覧を制限するプラグイン Restrict Content のプロ版を使うと、会員にだけ閲覧できるコンテンツを提供できる。StripeおよびPaypalに対応しているので、日本のユーザーでも使うことができる。なお、UIは英語。Easy Digital Downloadと組み合わせることもできる。お値段は年額 $99 から。
Simple Membership
上記と同様、会員のコンテンツへのアクセス権を制御する機能を持っている。公式リポジトリにある無料版がPaypalに対応しているので、一円も使わずに会員制サイトを始めることができる。無料。なぜこれで商売になるのか、よくわからない。お金持ちの家に生まれた人が作っているのだろうか? わりと日本語化されている。
WooCommerce + Subscription + Groups
若干めんどくさい手法なのだが、筆者の知人がChris Lemaの紹介するこの方法でできたといっているので、できるのだろう。利用するプラグインが若干多く……
プラグイン | 役割 | 値段 |
---|---|---|
WooCommerce | ECサイト作成プラグイン | 無料 |
WooCommerce Subscriptions | 継続課金対応プラグイン | $199 |
Groups | コンテンツのアクセス権をコントロールするプラグイン | 無料 |
Groups for WooCommerce | GroupsとWooCommerceを連携させるプラグイン | $79 |
となっている。ただし、WooCommerceのエクステンションが利用できるので、サイトが拡大していくとクーポンやアフィリエイトなどの拡張機能を追加できる。日本語化もそこそこされている。
CMSxWPのプラグイン
上記のすべてが日本語に完全対応していない一方、日本の会社が作っているということで国内での人気を誇るプラグインもある。有料会員制サイトも作れるネットショップ管理プラグインだ。「サイトデザインを作り変えて国際化し、ライセンス周りを整備していれば世界を狙えた」という人もいるぐらい、人気のプラグインだ。筆者は一度も使ったことがないのだが、このプラグインのカスタマイズを何度か頼まれたことがある。お値段は54,000円から。
さて、いったん、まとめよう。よく目にするプラグインは下記の通り。
名称 | 値段 |
---|---|
Restrict Content Pro | $99 |
Simple Membership Plugin | 無料 |
Woocommerce+拡張機能 | $378 |
ネットショップ管理プラグイン | ¥54,000 |
他にも Paid Membership Pro($297~) やmemberpress($119~)といったプラグインもあるので、気になる方は比較してみてほしい。
値段だけ見ると無料のもので始めたくなってしまうのだが、自分がこれから有料会員制サイトを始めてお金を巻き上げようというのに、お金をビタ一文払いたくないというのも変な話ではある。選定のポイントとして、以下のような機能を将来的に搭載できるかどうかを重視しよう。
- 会員に対するメール送付などの関係性を築く機能
- 初期費用無料、アフィリエイト、クーポンなどのマーケティングに必要な機能
サブスクリプションモデルはその収益性の高さと予測可能性から評価の高いビジネスモデルではあるが、定着させるまでの苦労は「売り切りモデル」よりも大きいので、ある程度の投資(といっても、数万円だが)を見込んでおこう。
機能の豊富さという観点からは、Restrict Content ProとWooCommerceが頭一つ抜き出ている。
Capital Pの有料会員制システムの仕組み
さて、ここからはCapital Pの有料会員に向けたコンテンツである。以下の内容をお届けする。
- Capital P の有料会員システム構築プラグインofuseはどのように動いているか
- Gumroadの仕組みと決済を外部化する意味
また、有料会員はこのプラグイン ofuse をダウンロードすることができ、操作デモ動画を見ることができる。