サイトアイコン Capital P

WordPressのシェアが30%に

Web Technology Surveysの調査によると、インターネット全体におけるWordPressのシェアが30%になったとのことです。

https://w3techs.com/technologies/details/cm-wordpress/all/all

WordPressの今後を担う2つの流れ

シェアが増えていく中でWordPressのユースケースも多様になってきました。

過去においてはブログソフトと言われていたWordPressですが、皆さん御存知の通り現在では企業とかのウェブサイトにも使用されています。

僕は海外のWordCampやWP-CLIプロジェクト等でのオンラインでのやり取りで、海外の人たちとやり取りをする機会が多いのですが、WordPressの未来について2通りの流れがあることを感じています。

1つは AutomatticWordPress.com がめざしていると思われる簡単ホームページサービス的な流れ。彼らはWixなどのサービスをライバルと考えており、より多くのユーザーが簡単にウェブサイトを作るれるようにすることを目指していると思われます。

Gutenberg が Automattic のプロジェクトとして始まったことは、その流れとしては自然だと思います。

https://github.com/automattic/gutenberg

(現在は github.com/wordpress/gutenberg ですが、当初は github.com/automattic/gutenberg だった。)

一方で、WordPressに積極的に貢献する海外の制作会社たち、たとえば 10upHuman Made などはWixをライバルとは思ってないでしょう。彼らのビジネルモデルは自社のクライアント向けにウェブサイトを作ることであり、エンタープライズなユースケースを想定して毎日せっせとカスタムなプラグインやテーマを開発していると思います。

WordPressの開発においてGutenbergの次に高い優先順位がおかれている WP-API を、おもにHuman Madeのメンバーが引っ張ってることは、これもまたすごく自然な流れだと思われます。

具体的に解決したい課題がある人たちがそれぞれの得意技で支えるWordPress

WordPressコミュニティには、これらの例のように具体的に解決したい課題を抱えるプレイヤーが直接関わるプロジェクトが他にもいろいろあります。

たとえばWP-CLIは、ホスティング企業やインハウスのインフラエンジニアが中心になってプロジェクトが進められています。最近では、インドのrtCampというクラウド関連のビジネスをしている企業の貢献が顕著になってきました。

テーマやプラグインのレビューを行う仕組みを開発しているTideプロジェクトは、Googleの参加が話題になっています。彼らは検索エンジンというビジネスモデルにおいて、WordPressで構築されたサイトの表示速度やセキュリティ、信頼性に非常に高い関心を表明しており、WordCamp USではコントリビューターデイにもGoogle社員が参加していました。

https://make.wordpress.org/tide/

WordPressの各バージョンはあらかじめリリースリードという立場の人が任命され、かれらがそれぞれのバージョンのリリースの陣頭指揮をとります。

リリースリードを行う人はWordPressのヘビーユーザーであることが多く、たとえばニューヨークタイムスのインハウスエンジニアのScott Taylor 氏(WordPress 4.4)や、DreamHost というホスティング会社の Mike Schroder 氏(WordPress 4.5)、WordPress 4.6と4.7では、ドミニクさんとヘレンさんというそれぞれ別々の制作会社の社員さんでした。

現在のバージョンの 4.9 は、XWP という制作会社の社員さんがリードを行いました。彼らはあきらかにフロントエンド開発に長けており、今回のバージョンでテーマカスタマイザーの改善が顕著だったことはとても納得できることだと思います。

そもそも日本人が日本語で使えるように翻訳をするというのも当事者にとってのモチベーションの原動力は、これらの例と同じじゃないかと思います。

多様なプレイヤーが集まって底上げするWordPressのシェア

WordPressのシェアについては漠然とコミュニティ全体の力と言ってしまうことが多いのですが、WordPressの主要機能の多くは具体的に解決したい課題を抱える人たちによって進められており、上述した通り各バージョンのリリースも特定の企業ではなくヘビーユーザーが中心になって行われます。

企業のプロダクトだと、偉い人が決めた方向にだーっとマンパワーが集中することになると思いますが、オープンソースプロジェクトでは、俺はここに困ってるから解決したい!というモチベーションでドリブンしていきます。

ぶっちゃけ僕は自分の仕事的にGutenbergにはそれほど興味が無いのですが、コミュニティとしての優先順位が低くても自分の課題を解決することに自分なりに頑張れば結果的に他の誰かの役にもたったことになります。

こういう多様性が今のWordPressのシェアを支えてるのではないかと思っています。

モバイルバージョンを終了