サイトアイコン Capital P

Web Designing 2019年4月「CMS 2.0 Webビジネスの成否に直結する新時代の常識」レビュー

Web Designingは企業のWeb担当者をターゲットにしたWeb業界誌である。「悩める企業の皆さまへ!」というコピー文からもわかる通り、エンジニアやデザイナーといった専門職ではなく、Webサイトをビジネスのために利用している人、つまりWeb担当者をターゲットにしている。

Web Designing 2019年4月号[雑誌]

価格¥1,222

編集Web Designing編集部

発行マイナビ出版

発売日2019年2月18日

Amazonを開く

Supported by amazon Product Advertising API

本稿で取り上げるのは「CMS 2.0 Webビジネスの成否に直結する新時代の常識」というCMS特集である。Facebookのタイムラインで見かけておもわず「面白そうやんけ〜」(CV:大木こだま)と書店に立ち寄った次第だ。Captal P読者、つまりWordPressに関わっている人に向けて、内容をかいつまんで紹介したい。

CMS 2.0 特集の構成

WordPressも取り上げられているのだが、基本的な構成としては「WordPress VS エンタープライズCMS」といった印象の座組みである。

上記は表紙ページのタイトルリストだが、唯一載っている具体的なソフトウェアがWordPressであり、なおかつネガティブな印象だ。これもオープンソースソフトウェアならではだろう。普通の企業の製品でこんなタイトルをつけてしまったら電凸クレーム&広告出稿停止の憂き目に遭う。

本誌を読んであらためて気付かされるのだが、世の中にはたくさんのエンタープライズCMSが存在し、WordPressはその中ではマイナーな存在だと認識されていることだ。その意味で、WordPressによる企業向けCMS導入ビジネスを行なっている人は、ぜひ読んでおいた方がいいだろう。以下の観点はWordPressに向き合っているだけではなかなか得られない知見だ。

ユーザー企業はなにをもってCMSの導入を決定しているのか

本誌にはユーザー企業の声が掲載されている。WordPressを選ばなかった企業が何を求めていたのかは、実際の業務で聞くことはあまりない。たとえばMarketoHubspotといった月額十万円以上かかるマーケティングツールとの連携、つまりデジタルマーケティングが非常に重要な課題になっていることなども知ることができる。

もちろん、それはニーズの発露でもあるので、たとえばマーケティングツールとの連携プラグインを開発したり、運用保守のわかりやすいプランを用意したり、新商材のアイデア元になるだろう。

WordPressではないCMSの営業トークはどのようなものか

大企業が採用するエンタープライズCMSはけっこうな額がかかる。初期費用1,000万、月額20万〜などということはザラだ。そうしたツールを販売する人たち(=決裁者を口説き落としてきた人たち)がどのようなことを売りにしているのかなどは本誌を読むと参考になるだろう。筆者のように心が汚れてしまった人間には、本誌の記事から「競合他社はどのようにWordPressの悪口をいうか」までが透けて見えてくる。

この一つ一つに反論することはとりあえずしないでおくが、想定問答集として心の中で回答を用意しておくとCMS導入を検討している企業担当者と話すときに役立つはずだ。

エンタープライズCMSの提供するサービスと価格

意識して情報収拾をしない限り、WordPressで商売をしているとWordPress以外のことがわかりづらくなるものだ。本誌で取り上げられているエンタープライズCMSのうち、名前を知っているものがほとんどないという人もいるだろう。

しかしながら、Adobe Experience ManagerSitecoreといったエンタープライズCMSは実のところ大企業向けではメジャーな存在であり、多くの採用事例がある。それらの機能や価格帯を知っておくことは、WordPressでビジネスをする上でも役に立つだろう。

プライムストラテジーが頑張っている

WordPressコミュニティとしては、Kusanagiで有名なプライムストラテジーが一人気炎を吐いている。ベストセラー「WordPressの教科書」を執筆した西牧八千代氏が寄稿されているので、WordPressがフルボッコというわけではない。

申し訳ございません、このリンクは現在利用できないようです。のちほどお試しください。

まとめ

WordPressでビジネスを行なっている方は、ぜひ本誌を読むことをお薦めする。ちょいちょいWordPressの悪口が書かれているのだが、ビジネスニーズを知るという意味では役に立つ。アウェイに出ていくような気持ちで情報収拾してみよう。

おまけ

本誌の文中でCMSのシェアを説明するために、グローバルシェアと国内シェアの情報提供元をあえてわけて並列する「エモいグラフ」を見つけた。

本誌P.36より。左はW3Techsで、右がBuiltwith。「日本国内だとWordPressのシェアはそんなに高くないよ」というメッセージとして受け取るのは下種の勘繰りだろうか。

こうしたプレゼンテクニックは実際の提案でも行われているのだろう。ふんどしを締め直して競合プレゼンに向かいたいものだ。

モバイルバージョンを終了