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WPEngineのAutomatticに対する仮差し止め命令処分判決が決定

WordPressコミュニティを二分する騒動になっているAutomattic vs WPEngineの訴訟合戦だが、まずはWPEngineが提出した仮差し止め処分についての判決が12月10日に出たようだ。PDFの判決文も公開されている。

仮差し止め処分とは、ある係争中の裁判において、本裁判の判決が出る前に関係者が特定の行為を制限してもらうための一時的な救済措置である。たとえば、建設会社(被告)が森林を切り開いている最中に環境保護団体(原告)が工事の一時中止を求めるのが仮差し止め処分だ。

今回該当した内容は以下のとおり。

要するに、Mattが行った一連の攻撃のほとんどは仮差し止め処分が出てしまった、ということである。そもそも仮差し止め処分が出たということは、裁判所がWPEngineの訴えをある程度聞き入れているということでもあり、一般的には本裁判でもWPEngine有利と考えて間違いないだろう。

とはいえ、Automattic側の主張によると、これらの仮差し止め処分はAutomattic側の反訴なしに決定されたもので、まだ被告側の主張は聞き入れられていない、とのこと。筆者は米国の裁判の流れをよく知らないので(日本のも詳しいわけではないが)、これがAutomatticによる強がりなのか、それとも単純にWP Engineのファースト・ジャブがヒットした結果なのかは判断に余る。

本裁判では「公式ディレクトリの提供は義務なのか」「MattはWordPressにおける権限を濫用しているのか」「WPEngineが受けた『損害』は妥当なものか」などが争点となるだろう。この判決いかんによっては、共有地コモンズの悲劇についての法的な解釈が出るかもしれない。もっとも、裁判所が「単なる2つのホスティング企業の争い」と結論づけるだけかもしれないが。

いずれにせよ、State of the Wordを来週に控えたタイミングでのこの処分、東京に来たMattがどのような発言をするのか楽しみである。

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