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Calypsoが大手プラグイン作者に対応を呼びかけ

Post Stats のニュースレターによると、先週の終わりにCalypsoの責任者 Andy Peatling からプラグイン作者に対してメールが一斉送信されたようだ。

宛先は、WordPress.orgの公式リポジトリにあるうち、100万以上のアクティブインストールを誇るプラグインの作者。

気になる内容はというと、プラグインのCalypso対応である。

なぜそんなメールを送ったのか

Calypsoは Automattic が提供する WordPress.com のデスクトップクライアントである。一見するとセルフホストのWordPressと関係ないように思えるが、JetPackの提供するAPIを経由してセルフホストのWordPressと連携することができる。

Calypsoの技術ベースはReact+NodeJSであり、PHPで動いているWordPressプラグインはそのままだと対応することができない。したがって、CalypsoはWordPressの魅力の一つである豊富なプラグインという資産を使うことができずにいるのだ。

プラグイン作者が何をするかというと、おそらくだが、JetPackのAPIに互換性を持たせるのだろう。これはWordCamp US 2016の “State of the Word” でも予告されていたことだ。

Calypsoの今後

まず、プラグイン作者にとってCalypsoに対応することがどれほどのメリットをもたらすかという点が重要になる。

以下は筆者の完全な私見なのだが、このプロジェクトが抱える難しいポイントは以下の点にある。

これらの困難を乗り越えれば、Calypsoの機能はWordPress.orgの資産を活用してより充実していくだろう。ポイントはプラグイン作者になんらかの利点を提供できるかにある。

以前、MattがWixのGPL違反に苦言を呈したことからもわかるように、ブログホスティングサービスであるAutomatticにとってはモダンな執筆環境を用意することが企業の成長にとって欠かせない。そうした状況において、WordPress.org というオープンソースコミュニティとうまく付き合いながら成長を図っていきたいのだろう。

日本におけるCalypso

日本におけるブログサービスとしては、市場調査をしたわけではないが、WordPress.com のシェアは多くないはずだ。ざっとあげても次のようなサービスがある。

これらのサービスと比べると、WordPress.comはややマイナーな印象にとどまる。Calypsoについても、LINEブログをiPhoneから更新している人は「デスクトップアプリが必要なの?」と首をかしげることだろう。

また、セルフホストのWordPressはブログ以外にCMSとして利用される例も多く、そうしたサイトにおいてCalypsoを利用したいかというと、正直微妙だ。多くの場合、カスタマイズを施したせいでCalypsoに対応できないだろう。

これらを総合的に鑑みると、Calypsoの存在感が日本で増していくことは考えづらい。

それよりも「WordPressはJavascriptになった」という勘違いが蔓延してしまわないよう、注意したいところだ。

感想

Calypsoはオープンソースとして公開されているが、その資産がNodeJSベースであることを考えると、単純な移植は困難だ。この試みがWordPressコミュニティにはまったく利することないプロジェクトとして終わってしまわないことを願うばかりである。

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