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WordPress.comが炎上の末に陰謀論サイトを閉鎖

WP TAVERNによれば、ニューヨークタイムズの報道”This Company Keeps Lies About Sandy Hook on the Web“(この会社はサンディフックについてWebで嘘をついている)を受けて、WordPress.comが炎上していたようだ。経緯は次の通り。

この件を受けて、WP TAVERNのSarah Goodingはそのように訴えざるを得なかった被害者父兄の心情を理解しつつも、Automatticが果たして利用規約の変更をしてまでサイトを閉鎖すべきだったかについてやや批判的な主張をしている。というのも、Automatticはホスティング会社であり、そのコンテンツについて口出し、つまり「検閲」をすべきではないからだ。

Forcing the censorship of offensive speech may feel like swift justice in the short term, but it weakens the fabric of a free society. Let discerning readers make up their own minds when they come across sites disseminating conspiracy theories. Although it may be an unpopular stance, the tragic nature of this particular offense cannot bypass the principles that underpin our basic freedoms.
他人を傷つける言説に対して検閲を強いることは、短期的には正義の執行に見えるかもしれないが、自由な社会の基礎を弱める。陰謀論を訴えかけるサイトに出会っても、慧眼な読者ならば自分で判断することができると信じよう。不評を買う立場かもしれないが、この件の攻撃の悲劇性でも、我々の社会の礎となる原理を無視することはできない。

Facebookがフェイクニュースの温床となっていることを受けて外部から批判を受け、マーク・ザッカーバーグが公聴会で米国議会の議員に返答をしたことも記憶に新しい。以前もお伝えした通り、インターネット企業がその影響力に応じて外部と摩擦が生じているのが昨今のトレンドであり、Automatticの炎上も初めてではない。この問題を二つの異なる権利の衝突(表現の自由VSプライバシー)と見るのか、旧メディア(新聞社はAutomatticの顧客でもある)から新メディア(Web)への批判と見るのか、見方も様々だ。フェイクニュースやヘイトスピーチなどの問題が増える今、「本当に表現の自由は必要なのか?」と疑問を抱いている方も多いだろう。筆者のように表現活動を行う人間は「表現の自由」を擁護するが、人生を賭けてROM専をしている人々は検閲を歓迎するかもしれない。国民投票をやったら「表現の自由などいらない」という結論が出ないとも限らない。そうした「ゆらぎ」を象徴するような事件だ。コメント欄も含め、議論は盛り上がっているので、英語が得意な方は原文を参照いただきたい。

ちなみにであるが、Automatticは上場していないので、アメリカの法律で上場企業に義務付けられている「言論の自由」に抵触する利用規約を掲げても法的に問題ないそうだ。

最近、日本では漫画村という違法漫画ダウンロードサイトに端を発した「通信ブロッキング」の件が問題となった。政府主導に大手キャリアが応じる形で現在も議論中ではあるが、これは憲法に保証されている「通信の秘密」に抵触する可能性がある。こうした「権利」は人類が長い時間をかけて勝ち取った概念なので、インターネットの速度で早急に判断を下すべきではないように筆者は思うが、皆さんの意見はどうだろうか。

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