WordPress.orgに公式プラグインとしてリスティングしてもらう場合、チームあるいは会社で運営していると色々と面倒なことがある。ありがちなのが、はじめは個人のアカウントで作成していたが、プラグインの成長とともに企業のブランディングに活用しようとなるケースだ。
本稿では、プラグインにおけるユーザーの役割を整理し、よりよいサポートの提供をするための参考となることを目指す。
プラグイン開発のステップおさらい
まずはプラグイン開発におけるアカウントがどのように存在するかを順番に交代しよう。筆者がGianismを作ったときのケースを考える。
- まずはWordPress.orgの公式アカウントを取得することから始まる。筆者は Takahashi_Fumiki というアカウントを取得した。
- プラグインファイルをコミットする。この際、
readme.txt
に色々と書き込む。
上記の時点では、筆者の作ったプラグインなので、なにも問題はない。しかし、筆者の経営する株式会社破滅派が事業として成長しており、WordPressコンサルタントとしてこれから伸びていくと仮定しよう(残念ながらこれは事実と異なる)。その場合、わりと使われているプラグインをメンテナンスしているというのは、会社にとってもよいことなので、「これは破滅派のプラグインですよ!」とアピールしたくなったとする。その場合、どのようにすればよいのだろうか?
プラグインに存在する役割
まずはプラグインに存在する役割を整理しよう。
作者
これはプラグインの作者である。ただし、実際に作者であるかどうかというより、プラグインページの一番上にクレジットされる名前というだけのことに過ぎない。
これはプラグインヘッダーと呼ばれるPHPファイルのコメントに書いた内容が反映される。筆者がここを自分の名前ではなく「破滅派」にしたかったら、次のように書けばよい。URLも同様。
<?php /** * Plugin Name: Gianism * Plugin URI: https://wordpress.org/extend/plugins/gianism/ * Description: Connect user accounts with major web services like Facebook, twitter, etc. Stand on the shoulders of giants! Notice: PHP5.4 required. * Author: Hametuha INC. * Version: 3.3.0 * PHP Version: 5.4.0 * Author URI: https://gianism.info * Text Domain: wp-gianism * Domain Path: /language/ * License: GPL2 or Later */
ちなみにであるが、この文字列は翻訳対象であり、Glotpressで翻訳できる。翻訳するためにはPTE権利リクエストをしておこう。
コミッター
コミッターはSVNリポジトリにプッシュすることができるアカウントである。これはWordPress.orgのプラグイン詳細ページから、Advanced Viewをクリックすると登録することができる。
コミッターは特に表示されないが、ある意味でもっとも強力な権限を持っているので、信頼できる人だけを指名するようにしよう。
コントビリューター&開発者
これはプラグイン readme.txt
に書いた内容が反映される。Githubなどでコードをメンテしている場合もあるので、その場合はこちらに名前を記載してあげるとよいだろう。
=== Gianism === Contributors: Takahashi_Fumiki, hametuha Tags: facebook,twitter,google,instagram,account,oauth,community,social,sns Requires at least: 4.6 Tested up to: 4.9.5 Stable tag: 3.3.0 Requires PHP: 5.4 License: GPL 2.0 or later License URI: https://www.gnu.org/licenses/gpl-2.0.html
また、企業としてチーム感を出すためには、最初に会社のアカウントを表示し、その後に開発者チームの個人アカウントをずらずら書いていくとよいのではないだろうか。
コントリビューターはフォーラムでラベルがつく。
サポートREP
REPがなんの略なのかわからないのだが(representative=代表、担当?)、サポートを行う人を追加することができる。こちらはコミッターと同様、Advanced Viewから追加できる。サポートREPになると、フォーラムでラベルがつく。AutomatticやYoastといったところはうまく活用しているようだ。
まとめ
さて、上記の通り、4種類の役割があることがお分かりいただけただろうか。まとめると次のような感じになる。Capital Pが会社組織だったと仮定してみよう。
役割 | 個人の場合 | 企業の場合 |
---|---|---|
作者 | 高橋文樹 | Capital P |
コミッター | 高橋文樹 | 高橋文樹 |
コントリビューター | 高橋文樹 | 高橋文樹、西川伸一 |
サポートREP | 高橋文樹 | 高橋文樹、西川伸一、宮内隆行 |
社員のホビープログラミングから始まったプラグイン、プラグインをメンテしていた人が退職してしまう場合など、色々とあるだろう。うまい具合に運用し、ブランドを高めていってほしい。ちなみに、公式ドキュメントはSlackで聞いて判明したのだが、 “Special User Roles and Capabilities” と “Plugin Readmes” がわかりやすい。