WordPressの共同創業者であるMatt Mallenwegの会社AutomatticにJary CarterがCROとしてジョインした。Jary Carterは前職でOrocommerceというB2B専用のオープンソースECプラットフォームを創業。
LinkedInのキャリアを確認する限り、Orocommerceの前は同じくオープンソースECプラットフォームとしてもっとも有名なソフトの一つであるMagentoの開発元でセールスマネージャーなどの要職についていたようだ。筆者の独断と偏見によるキャリア診断では、次のような感じなのではないだろうか。
- MagentoでOSSビジネスを勤め、EC領域で経験を積む
- B2B領域での可能性を感じ、OroCommerceで独立
- ビジネス的にそれほどうまくいかなかったので、Automatticにジョイン
Magentoの元有力プレイヤーということで、WooCommerceのテコ入れを測ると思いきや、就任したのはWordPress VIPのCRO(Chief Revenue Officer=最高収益執行者?)である。おそらくWordPress VIPの収益を最大化すべく頑張るのだろう。ちょうどWordPress VIPもB2Bである。
念の為、WordPress VIPについて説明しておこう。これはAutomatticの強力なプラットフォーム上でWordPressを展開できるサービスで、マネージドホスティングサービスのエンタープライズ版だ。このVIP、パートナーという形で様々なWordPressインテグレーターが参加している。コミュニティ事情に詳しい人ならばすぐにわかるのだが、10up、Human Made, XWPなどのリリースリードやチームリードを多く抱える企業ばかりだ。 客もVIPだし、開発者もVIPといったところだろうか。
実はこのVIP、筆者が昔自分のブログに書いた「WordPressVIPのナイス料金表で今日からあなたもハードネゴ」という記事の頃とは変わり、料金表が取り下げられている。筆者の予測なのだが、エンタープライズモデルで料金表を掲げるのは得策ではないのだろう。というのも、エンタープライズCMSの多く(e.g. Adobe Experience Manager, Sitecore)が別に料金表を掲げていないからだ。エンタープライズCMSの世界はマクドナルドは違うのだろう。
最近、著名な人物が次々にジョインしているAutomatticだが、筆者の印象では企業として特にデザインの面で洗練されてきた印象だ。リモートワーキング企業のためのオフィススイートHappy Toolsを先日発表したばかりだが、こちらも大変シャレオツな印象。
これまでのAutomatticはそれほど「おしゃれ!」という感じがなく、どことなく4,5年前に流行った服を着てる奴といった印象があったのだが、テコ入れを測った結果、垢抜けつつあるようだ。UI・UXが流行する現代においても、かなり洗練された部類に入るのではないだろうか。
いずれにせよ、WordPress界のリーディングカンパニーであるAutomatticがエンタープライズホスティングに注力したらどうなるのか、行く末を見守りたい。