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Automatticがプレス向けページを更新し WordPress.com と WordPress の違いを明言

WordPressメディアWP TAVERNがAutomatticのプレス向けページが更新されたことを報じている。追加された内容としては次の通り。

Journalists, Please Note 

Automattic owns and operates WordPress.com, which is a hosted version of the open source WordPress software with added features for security, speed and support. Please append “.com” when referencing our product name.

WordPress is open source software, which is written, maintained, and supported by thousands of independent contributors worldwide. Automattic is a major contributor to the WordPress open source project. If you would like to contribute to the WordPress open source project, learn more at make.wordpress.org.

Automattic.com

大意を訳すと、メディアに対して「AutomatticはWordPress.comというサービスを保有していて、私たちのサービスに言及するときは必ず”.com”を付けてください、WordPressはオープンソースソフトウェアですよ」という旨を説明している部分だ。

WP TAVERNによれば、この追記の発端はHuman MadeのコントリビューターCaspar HübingerとAutomatticのMonica OharaがLinkedinで会話を交わしたことらしい。コメント欄では様々な意見が飛び交っており、コミュニティとビジネスとの関わりとして興味深い。

そもそも何が問題とされているか

さて、AutomatticがWordPressに対して取る態度の何が問題とされているかについて、事実の側面から説明しよう。

NY Timesなどの大手メディアでWordPressが取り上げられるとき、稀に「WordPressを所有するAutomattic」という表現が使われることがある。記者達はWordPressだけに詳しいわけではないため、そのように間違えてしまうことはありえる。こうしたことが起こるたび、WordPressコミュニティの一部は傷つけられたような気分になっていたようだ。

「Automatticは意図的にWordPressとWordPress.comを混同させようとしている」という意見もあり、当たらずとも遠からずといったところだろう。WordPress.comはWordPressの商用版として位置付けられており、両者はひとつながりの製品のように見える。この状況はマーケティングにおいてAutomatticに利益をもたらしているはずだ。

より過激な批判者は「AutomatticはWordPress.comという名称をやめるべきだ」と主張している。これに関しては明確に否定されており、あまり現実的ではないだろう。

コミュニティの温度差

さて、この問題の発端となったCasparはHuman Madeのメンバーである。Human Madeは多くのコントリビューター・コミッターを輩出しており、REST APIなどの重要な機能の多くがHuman Madeのメンバーによって開発された。そうなると、Human Made的には多くのリソースを割いているWordPressのバリューが別の企業によって勝手に利用されているという状況になるわけだ。それは面白くないだろう。

一方、別のユーザーは「でも実際、WordPressってAutomatticのものでしょ?」という主張をすることがある。GutenbergプロジェクトなどはAutomatticに雇われているコントリビューターが関わっており、当然Automattciは投資をしている状況である。Human Madeほどリソースを割いていないユーザーからすると、Automatticが勝手にWordPressをよくしてくれている状況であり、ブランドの混同なども特に気にならない。

これらの温度差はWordPressでビジネスをしている/していないでも変わってくる。WordPressからまったく収入を得ていないコントリビューターはより原理主義的(例・いっさいの宣伝活動を認めない)になることもできるし、WordPressでビジネスを行っており実際に投資もしている企業はオープンソース活動の見返りを求めたくなるものだ。

WordPressは多様なコントリビューターを抱えており、その反応も一様ではない。大多数は「この問題に興味がない」だろうが。

日本語で間違えていたらどうするか

日本語メディアでもまれに間違えているメディアを見つけることができる。ただ、それは単に知らないだけであり、実際に混乱しやすいブランディングをしているのだから、メディアを責めることは得策ではない。WP TAVERNの記事で取り上げられていたTechCrunchの記者からの返答が示唆的である。

We had no policy on this. We’re going to change it to .com (or make references to Automattic as needed), and note in our style guide.

これに関して特にポリシーはありません。.comに変えるか、ご要望の通りAutomatticについて言及しておきます。編集方針にも注記しておきます。

WP TAVERN

したがって、WordPressとWordPress.comを混同している記事を見かけ、それを直して欲しい場合はお問い合わせフォームなどの正面玄関から「記事の情報が間違っていますよ」と連絡してあげると直る可能性が高い。また、twitterなどで「.comと.orgの違いもわからないバカメディア!」などと悪口を書くと、ヘソを曲げてしまって対応してもらえなくなるので、裏でこっそり報告してあげよう。

なお、この件に関する筆者のポリシーはというと、「WordPressとWordPress.comを世間が混同していた方がコミュニティの利益が大きい」である。もちろん、Capital Pでは両者を厳密に区別して書くが、世間的には混同してもらって構わない。WordPressが世界のWebサイトの35%を占めるといっても、そもそもWordPress自体を知らない人間の方が遥かに多いのだから、市場を広げる意味でもボヤッとした概念としてのWordPressが広まる方がコミュニティの最終的な利益は大きくなるだろう。

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