WordPress が毎年リリースしているデフォルトテーマだが、年末12月8日にリリース予定の Twenty Twenty One のモックアップが紹介された。
Twenty Twenty One の特徴
パステルグリーンの背景色をベースにしたテーマで、シンプルな作りとなっている。
背景色はもちろん変更可能だ。彩度を落としたパステルカラーを中心としているが、モノクロ(ナイトモード対応?)などもデモからはうかがえる。
これほどシンプルなデザインだと、タイポグラフィと画像にほぼすべてがかかってくる。日本語の場合、巨大なファイルサイズの Web フォントをどうするかという問題が常に付きまとうので、フィードバックしてみると面白いかもしれない。
デザインファイルは Figma で公開されている。興味のある人は覗いてみるといいだろう。こうしたデザインファイルを見ると、デフォルトテーマが無料とはいえ、大変な労力で作成されていることがわかる。その他の気になるポイントは以下の通り。
- ブロックエディター完全対応。ブロックパターンにも対応する予定なので、アイデアがある人はイシューを登録してみよう。
- アクセシビリティにも配慮されているので、「aria ってなに? 消しとこ」というコーダーはテーマのソースコードをじっくり読んでみると参考になるだろう。
- フルサイトエディッティングにも対応する予定らしい。果たして、どのようなファイル構成になるのか見ものだ。
Twenty Twenty One のネタ元
デフォルトテーマは多くの場合既存のテーマを元にしており、今回のベースは Automattic の Seedlet だ。ただ、デザインをみる限り元のテイストはほとんど残らない。
デザインリードの Mel Choyce は Twenty Twenty One を「ブロックエディターのための空白のキャンバス」と表現している。
Twenty Twenty One is designed to be a blank canvas for the block editor.
Introducing Twenty Twenty One
モックアップに使われた画像も印象派の絵画で、「なんかアート雑誌の誌面っぽいな」というのが筆者の印象だ。元々は印刷物のリソースを集めていたが、そのテイストをデジタルに落とし込んだ表現がTwenty Twenty Oneということらしい。
情報収集につかったPinterestのボードが公開されていて、それを見ていると腑に落ちる点が幾つもある。特に二色刷り表現の印象が強い。90年代っぽさもいまっぽさをよく表している。アジア、そして日本の印刷物もピンに登録されているので、読者のみなさんも見てみると面白いはずだ。
- CITY HUNTER! 週刊少年ジャンプの印刷(薄いピンクやブルーの安っぽい紙に墨インク)を今見ると懐かしくて泣いてしまう(筆者は1979年生まれ)。
- 粟津潔のデザインが2つも採用(現代美術の動向、音楽をどう生きるか)されている。サイケデリック等高線は大江健三郎『万延元年のフットボール』のハードカバーにも使われていた。
こうした膨大なネタ元から削ぎ落として一つのテーマを作っていくデザイナーの思考の過程を想像するのも勉強になる。
価格¥2,090
順位19,154位
著大江 健三郎
解説加藤 典洋
発行講談社
発売日1988年4月4日
筆者の観測範囲だと、2015ぐらいからデフォルトテーマを利用している人がめっきり減った印象がある。デフォルトテーマもそんなに悪くないので、アフィリエイトで生計を立てているというのではない人は使ってみてはいかがだろうか。