Automatticが新年早々、Webサイト作成サービスを開始した。サービス名はまだ決まっていないのか、”Our website building plans”となっているが、4,900ドルから。現在はβ版のような位置付けで、申し込みを行って詳細を決定してから受け付けるか否かが決まるとのこと。
新年早々のリリースにいち早く答えたWP TAVERNでは、WordPressコミュニティのフリーランサーたちの意見を紹介しており、コミュニティのビジネスにとって強力なライバルになるだろうと悲観的な見方も出ている。
Freelancers will be hurt the most. A for instance: My custom built sites start at $3k. Once you factor in a designer that $4.9k rate looks very competitive.
フリーランサーがもっとも損害を受けるでしょう。たとえば、私がカスタムサイト構築を請け負うなら3,000ドルからです。デザイン請負業をしている人にとって4,900ドルはかなり強力なライバルになります。
WP TAVERN より、筆者訳
AutomatticはVIPというエンタープライズ向けサービスを紹介しており、以前筆者が個人ブログで書いた通り、かなり強気な値段設定となっていた。イニシャル数千万円、月額保守100万円からといったような価格帯である。100万円以下でWordPressを構築している業者にはあまり関係ない、やんごとなき方々のビジネスといった印象であった。しかし、日本円で50万円からとなると、中小零細のカスタムフィールド製造業者たちにとっては思いっきり競合となる。
ただ、サービスの詳細がよくわかっていないので、希望的観測としては「Automatticがカスタムフィールド製造業者の窓口になってくれる」という可能性もある。この部分はサービスの表現が”Built by US”だったり”Our experts can build it for you”だったりするため、憶測を呼んでいるようだ。
日本の似たようなサービスとしてはJINDOエキスパートやロリポップ!ホームページ制作などがあるが、もし後者であれば、State of the Word 2020 で述べたMatt Mallenwegの言葉「新型コロナで仕事を失う人もたくさんいたよね」と矛盾しないのだが、いまのところ前者(Automatticがフリーランサーの仕事を奪いにきた!)として受け止める向きが多いようだ。
なんにせよ、Automatticはマネージドホスティング企業として力を入れており、低価格帯と高価格帯ではかなり強力なプレイヤーだ。当然、進出していないマーケットが存在していれば、そこに拘ろうとするのは当然だろう。
2020年は新型コロナの影響もあり、WordPressのシェアが40%に迫り、CMS界の1位どころかWebサイト全体でCMSを使っていないサイトも含めて1位になってしまった。このシェアの伸びは直近では最大であり、コントリビューターの数も歴代最多となった。外野からの「WordPressは終わった!」という声に反し、まだまだマーケットを伸ばしているというのが実情である。
今後も強力な新サービスが登場するだろうが、巨象にプチッと踏みつぶされないよう身の処し方を考えたいところである。
末筆になるが、新年明けましておめでとうございます。本年もCapital Pをよろしくお願いします。