2025年5月に発足していたWordPressのAIチームだが、7月にその目標の大枠となるAI Building Blocks for WordPressを公開していた。この記事ではその内容をざっくりと紹介したい。
まず、この名称だが、”Blocks”と入っているからといって、ブロックエディターのブロックのようなUIパーツを示すわけではないようだ。あくまで”Building Blocks”は「構成部品」とでも訳すべきもので、具体的なUIを意味しない。生成AI業界で “AI Building Blocks” は一般名詞的な使われ方をしているようで、たとえばGoogle Cloudも同じ名詞を使っている。
さて、AI Building Blocks for WordPressだが、いまのところ、次の4つが大きな目標として掲げられている。それぞれについて何をするものなのか説明したい。
- PHP AI Client SDK
- Abilities API
- MCP Adapter
- AI Experiments Plugin
まず、PHP AI Client SDKだが、これはAIプロバイダーへのアクセスを抽象化するためのPHPライブラリだ。認証やAPI、ストリーミングなどのインターフェースが提供される。WordPressがオープンソースであることを考えると、特定のLLMに依存するのではなく、ユーザーの求めに応じて選択肢を切り替えられるのが望ましいだろう。開発者にとってもその方が助かる。いまのところ、Composerライブラリとして開発が進められている。
続いて、Abilities APIだが、これWordPressの機能を能力(Ability)として登録・公開するAPIだ。おそらく後述するMCPサーバー機能と関わってくるのだろうが、AIが「このWordPressは何ができるのか?」を判断するためのものと考えられる。Abilities APIという記事がすでに発表されており、ざっと見た感じはREST APIのような印象だ。
// Any plugin can register its abilities with the `init` hook.
wp_register_ability( 'my-seo-plugin/analyze-content-seo', [
'label' => __( 'Analyze Content SEO', 'my-seo-plugin' ),
'description' => __( 'Analyzes post content for SEO improvements.',
'my-seo-plugin' ),
'thinkingMessage' => __('Reviewing your content now!'),
'successMessage' => __('Content reviewed successfully.'),
'execute_callback' => [ 'MySEOPlugin', 'analyze_content' ],
'input_schema' => [
'type' => 'object',
'properties' => [
'post_id' => [ 'type' => 'integer', 'description' => __( 'The post identifier.', 'my-seo-plugin' ), 'required' => true ],
],
'additionalProperties' => false,
],
'output_schema' => ]
'type' => 'number',
'description' => __( 'The score for the content in percentage.', 'my-seo-plugin' ),
'required' => true,
],
'permission_callback' => 'edit_posts',
] );
MCP AdapterはMCP(Model Context Protocol)を通じてAIアシスタントへのリソース・ツールを提供する。ClaudeにGitHubのMCPサーバーを組み合わせて利用する、などの使い方をしている人はすでに多いだろうが、個々のWordPressにその機能が実装されることになりそうだ。MCPに「露出」する機能はおそらくAbilities APIによって定義されるはずなので、この組み合わせの妙、つまり「どういうMCPサーバーになるか」をデザインすることも今後のWordPress開発者にとっては重要な仕事になりそうな気がする。リポジトリはすでに存在するので、ウォッチしておくとよいかもしれない。
AI Experiments Pluginは上記3つの機能を実装・利用したプレイグラウンド的なプラグインで、開発者たちはこのプラグインを参考にしながら開発をすることになるだろう。Canonicalプラグインとして作成される予定とのこと。
以上、AIチームが掲げる新しいプロジェクトについて説明した。まだ完成品がないからか、イマイチ盛り上がりにかけている印象があるのだが、Gutenbergプロジェクトが完了に向かういま、AI機能は最大の関心ごとになるはずだ。興味のある人はSlackの #core-ai チャンネルに参加してみるとよいだろう。
