WordPress 日本語フォーラムのモデレーターと、WordBench 名古屋での活動をしています。@mypacecreatorこと野村です。
さて、2017年6月23日にリリースされたWordPress 4.8 は、地域コミュニティに大きな衝撃を与えました。
それは、「WordPress イベントとニュース」ウィジェット です。
これまで、WordCamp や WordBench などのコミュニティ主催イベントに参加をする層といえば、自らSNSや検索行動でイベント情報を得るなど、ある程度自発的な情報収集をしている人たち、という側面がありました。
しかし、ダッシュボードに近隣のイベント情報が載ることにより、 今までそもそもオープンソースコミュニティがあるということすら知り得なかった人々に、WordBench の存在が知られることとなります。
「ダッシュボードを見て来ました」層の急増
名古屋コミュニティでは、毎年、WordCampによく似た「WordFes」というイベントを開催しています。
(※ちなみになぜCampではなくFesなのか?という理由は、以前小野さんがスライドにまとめています。またCampをやるかどうかは未定ですが、Campと比べて遜色ない運営ができているという自信は付きつつあります。)
今年は季節外れの台風が2つも来た10月末に開催したのですが、主催者の予想を上回る過去最高の参加者数を記録。アンケート結果では、イベントを知ったきっかけとして1割程度の人が「ダッシュボードのイベント情報」を選択していました。
その後毎月定例の WordBench 勉強会でも、「ダッシュボードを見て来ました」という初参加者さんが、毎回5〜10名前後みられるようになりました。
単純に参加者が増えることは喜ばしいのですが、それによって地域コミュニティのあり方も変化が求められています。
以下、今の名古屋コミュニティが感じている、特に大きな2つの変化について書きます。
1. 参加者の年代層の拡大
私がウェブ系のイベント・勉強会に参加し始めたのが2010年頃からなのですが、参加者の年齢層は主に20代後半〜40代という印象でした。
一方、最近のWordBench 名古屋では、シニア層(50代後半以上)の参加が目立つようになりました。
単に今までの参加者が8つ年を取った、というだけではありません。
これからPC・ブログやWordPressを始めるシニア層(非ウェブ制作者)が着実に増えてきていることを示しています。
昨日、名古屋では通常のWordBenchのスピンオフ企画として、「WordPress 初心者集まれ!WordBench 名古屋ビギナーズ 第0回」という勉強会が開催されました。
私は参加できなかったのですが、サポーターとして参加したメンバーの話では、それぞれが持ち寄った問題はある程度解決に導くことができ、それなりに満足度は高かったとのことです。
参加者層としてもシニアが多く、通常のWordBench ではもしかしたら若手に遠慮して質問できずにいたような方もあったのかも?ということを思うと、とても意義のある会だったそうです。
また、12/2に開催された、お隣のWordBench岐阜に参加したメンバーの話でも、50代後半以上の参加者は目立ったと聞いています。
一方で若手の参加者が無いかといえばそういうこともでもなく、先日の12月勉強会では高校生・大学生・専門学校生などの参加もあり、上から下まで参加者層の拡大を感じます。
2. 参加者のレベル差の拡大
前述の内容と重複しますが、「WordPress 初心者」ならびに「ウェブ・PC初心者」の参加がかなり増えています。
これ自体は歓迎すべき点ですが、それにつれて、これまで主力となって運営してきたメンバーが本当に興味のあるテーマを取り上げにくくなる、というジレンマが起きてきます。
「インストール後の必須設定」や「テーマ・プラグイン入門」といった内容は毎回人気があり、人が集まります。
また、コミュニティとして啓蒙すべき内容、たとえばセキュリティやライセンスについての話は何度繰り返しても良いくらいです。
一方で、中心となる運営メンバーにとって「滅私奉公」となる状況も決して良いことではありません。
たまには初参加者に遠慮せず、REST APIだったりWP-CLIだったりテーマカスタマイザー実装だったり、そういう勉強会もやりたいわけです。
そこでWordBench 名古屋では、今年から月ごとに「運営者向け」「初心者向け」「制作者向け」「開発者向け」とターゲットをローテーションし、勉強会テーマを決めるようになりました。
今のところはこの試みの導入は良かったと思いますが、それでも開発者回に初心者さんが参加して難解な印象を抱いて帰ってしまったりとか、「なんか思った勉強会と違うなー」と感じて初参加者が定着しなかったりとか、情報収集に熱心な層の参加申し込みが早すぎて、ライトユーザー層がイベントの存在を知った頃には既に満員だったりとか、、、
そういった可視化されていない問題はきっとあって、それらをどう解消していくのかという、とても大きな課題を抱えています。
個人的には、昨日のようなビギナーズ企画を定着させることで、「技術的に自信のない人でも運営側に積極的に参加していいんだよ」っていうメッセージになるといいなあ、という思いはあります。
以上、最近の名古屋コミュニティの状況について紹介しました。
参加者層の多様化とどう向き合うか?
なんだかんだで名古屋は結構な母数を抱えていますし、10年もの歴史があります。ですので、他の地域や、設立間もない地域コミュニティとは少し状況が違う部分もあるかもしれません。
しかし、シニアやビギナー層の増加は、おそらくどの地域でも今後顕著になってくるのではないかと思います。
そんな中、既存のメンバーと新しいメンバーがどのように手を取り合ってコミュニティを盛り上げていくのか。初参加者同士の横の絆をどのように育んでいくのか。
各地域で情報や意見交換ができれば幸いだと思いますし、このCapital P というサイトもその一端を担うサイトであり続けてほしいと、切に願います。