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WordBench とはなんだったのか。

先日、WordBench の行動規範というものが公開されました。

http://wordbench.org/2018/05/12/wordbench-code-of-conduct/

このWordBenchの行動規範に関する、個人的な考えと提案を書いてみたいと思います。

行動規範について

英語で行動規範は、Code of Conductで、オープンソースのソフトウェア関連イベント、開発そのもの、あるいは企業によって活動に従事するメンバーの行動に関する規約を明文化したものを言います。

どれも、排他性を排すること、脅迫やハラスメントをしないこと、人種や性別、性的指向、あるいは技術レベルなどの属性による差別をしないことなどを定めています。

WordPressのコミュニティーにおける行動規範にまつわる文書・プロジェクトはいくつかありますので紹介してみます。

ひとつめは、WordCamp 行動規約です。

行動規範

これは、それぞれのWordCampに参加するすべての人(実行委員、スピーカー、スポンサー、参加者など)を対象として、かつ、WordCampとその周辺の社交のための場を範囲として、その行動の規範を示すものです。注目したいのは、WordCampというイベントに範囲が限られていて、WordCampに関係がない、たとえばオンラインのコミュニティーはスコープに入っていない点です。

ふたつめは、WordPress コミュニティ運営イベントの原則という日本語サイトに掲載されている文章です。準拠することでWordBenchのウェブサイト上での告知・宣伝が可能になり、WordPressイベントカレンダーへの掲載が可能になる(ここには書かれていないですが管理画面ダッシュボードのイベントウィジェットへの掲載も)とあります。また、WordCampは別とのこと。

3つめは、現在策定作業中の Community Code of Conductです。Make WordPress Communityをメインの議論場所として、その議事録や計画の全体は #CCoC タグでくくられて読むことができます。このプロジェクトは、イベントというリアルの現場だけではなく、フォーラムやSlackなどのを含む、オンライン上でのコミュニケーションでの行動をもそのスコープに含めることを視野に入れているもので、2017年の5月から始まっており、その策定の可否や提要させる範囲を含めて議論が進んでいるというのが現在のステータスです。

WordPressにまつわる関連文書で最後に触れたいのが Etiquette です。

エチケット

原文はこちらにあります。https://wordpress.org/about/etiquette/ これがいつからあるページなのか、僕は知らないのですが、この一番下に、上記のCommunity Code of Conduct への言及があります。

There is a project currently underway to create a project-wide code of conduct so that we can ensure the safety of our contributors.
(WordPressの)プロジェクトを横断する行動規範を策定することで、すべての貢献者の安全を確保するための、現在進行中のプロジェクトがあります。)

WordBench について

WordBench.org/aboutページには以下のように書かれています。

WordBench は WordPress 日本語公式サイトの運営チームにより運営される WordPress ユーザーのための地域コミュニティサイトです。各地域のコミュニティはボランティアのメンバーにより運営され、WordPress のユーザーであれば行動規範を守る限り誰でも参加できます。また活発なコミュニティではオフラインでのイベントが開催されています。

提案

というわけで、行動規範一般について、WordPressコミュニティにおける行動規範等について、それからWordBenchについてを整理するという長い前置きを済ませて、いくつか提案をしたいと思います。

提案 1: 行動規範の文言について、期間を区切って意見を集約する

現状あるものをベースとして、一定期間、たとえば1ヶ月などを議論の時間として設定してコメントを募り、その結果をもとに改定案を作り、さらにレビューを行って改訂版を作ってはいかがでしょう。質問をSlackで受け付けて解釈を説明するのではなく、文言自体をみんなで作ってはいかがでしょう。

ちなみに、僕からの意見は以下になります。

提案 2: 行動規範チームを作る

行動規範の文言を策定するチームを作って、意見のとりまとめの作業などはそこでしてはどうでしょうか。そして、そのチームの名前で行動規範を出してはいかがでしょう。WordBenchのウェブサイトを運営している人に加えて、たとえば、イベントを実際に運営している人が入ったほうが現状を反映した規範ができるのではないでしょうか。

提案 3: WordBench を WordPress Meetup の日本版のような位置づけに据え直す

WordBench 東京とか WordBench 山口といった呼び方をする時、僕もそうですし、人はイベントのことを指しています。FAQの中に、「WordBench はただのウェブサイトに過ぎません」という文言があるのですが、最初に読んだときは「え?そうなの?」という感じです。WordBench.org はその活動を支援するための仕組みのひとつなのではないでしょうか。

意見: WordBench はコミュニティー全体の財産

WordBench はものすごく多くの人たちによるイベント運営、セッションやワークショップ、懇親会の実施などによって盛り上がっているコミュニティーです。であれば、イベント運営者や登壇者、その名前を広げている人たちは貢献者として認知すべきです。WordBench という文字も、公式のウェブサイトから言及されるという、なかば公的な存在になっています。上に書いたいくつかの提案は、現に貢献している人たちがいて、公的な側面が強くなったコミュニティーなのだから、そのルール作りもみんなでやればいいのでは?という違和感に基づいての提案です。

少なくとも僕は、唐突にルールがやってくるコミュニティーで活動し、それを宣伝したり運営したりしているつもりはありませんでした。もっと主体的にムーブメントに参加していたつもりです。「WordBenchとはなんだったのか?」は僕がこの行動規範の発表を受けて「あれ?そういうことだったの?」ということですね。ルールの策定者が誰であるかに関係なく、ルールの内容がどうなっているかに関係なく、大変居心地の悪い出来事でした。

上記の動画は、三好隆之さんが、WordBench プロジェクトを立ち上げたときの発表です。日本で初めて開催されたWordCampである WordCamp Tokyo 2008 の懇親会で話が出て、翌年には12の地域に広がった、という話を聞くことができます。この発案や実行、継続があって今日のWordBenchにつながっていることに感謝して敬意を示しつつ、僕や僕と感覚を共有する人たちにとっても居心地がいいコミュニティーになるといいなと思って、このオピニオン記事を書きました。

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