有料会員制サイトを構築するにあたってよく使われるTheme My Loginというプラグインがあるのだが、次期メジャーアップデートで大きな変更点が入るようだ。すでに管理画面にはメッセージが表示されている。
- 既存モジュール(カスタムメール、reCaptchなど)はすべて削除され、エクステンション扱いとなる。
- これまではテンプレートをコピーして書き換えればオリジナルのカスタマイズを施すことができたが、まったく新しい方式になる。
- プロフィールページ、ログインページなどで固定ページを利用していたが、それはもうやめるようだ。
端的にいうと、後方互換性のないアップデート”Breaking Change”が入るということだ。ユーザーは設定を変更することで、7以上にアップデートしないという選択を取ることができ、プラグイン作者もプラグインを自動アップデートしないことをすすめている。アップデートはオプトイン方式のようだ。
Please read the following carefully! Theme My Login version 7.0+ contains major changes that can possibly break some sites. In order to protect your site from potentially breaking, we are requiring you to opt-in to receive the update. So that we may help you understand some of these changes, we will go over them below.
100万以上のアクティブインストールがあるプラグインでのこのアップデートはいかにも物議をかもしそうだと思っていたが、やはりフォーラムではそういった趣旨の書き込みが散見される。筆者も自動アップデートではなく、まったく新しいプラグインとしてTheme My Login 7をリリースした方が軟着陸できたのでは、と考える。
Theme My Loginの新しいエコシステムは?
これまでTheme My LoginはJeff Farthingというフリーランサーによって開発されてきた。しかし、新しいTheme My Loginのエクステンションストアを見ると、”Theme My Login, LLC”となっている。本人が一念発起したのか、誰かが協力して一緒に会社を作ったのかはわからないが、WordPressプラグインとしてビジネスモデルを構築しようというところだろう。
平たく言ってしまうと、このモデルはWooCommerceやEasyDigitalDownloadと同様のモデルである。平均価格帯はモジュール一つあたり15ドルぐらいなので、そんなに高くはない。筆者も利用しているプラグインではあるので、とりあえずいくつか買ってみようとは考えている。
これから新しいプラグインを作るなら
元々は「ログイン画面をWordPressっぽくなくできる」というだけのプラグインだったTheme My Loginが、機能の肥大化を続け、ついにはそれらのモジュールをエクステンションへと切り出す決断をした。今後がどうなるのかは興味深い。特に、最近は開発速度が落ちていたので、これが良い方向に働くのかどうかは見ものだ。
ユーザーを失望させることなく販売モデルへと切り替えるには、最初から追加機能(アドオン・エクステンション)を想定した作りにしておくことが重要だ。メインのプラグインに色々付け加える方がプラグラミング的には簡単なのだが、疎結合にしてモジュール化しておくだけでも後々の展開が変わってくる。
幸い、WordPressにはフックという仕組みがあるので、それを利用するのでもよいだろう。たとえば……
<?php /** * メインプラグインoreoreのファイル oreore/oreore.php */ add_action( 'plugins_loaded', function() { // すべてのプラグインが読み込まれた時点で、 // このプラグインにユニークなアクションを実行。 do_action( 'oreore_is_activated' ); } ); /** * エクステンションoremooremoのファイル oremooremo/oremooremo.php */ add_action( 'oreore_is_activated', fucntion () { // ここに来た時点でoreoreは有効化されている。 // ポイントはこのファイルに依存関係などを書かないこと。 require __DIR__ . '/bootstrap.php'; } );
というような感じにしておけば、エクステンション、あるいはアドオンなどは簡単に作ることができる。
やはり無料プラグインの方が多くの人の目に止まるし使ってもらいやすい。しかしながら、ビジネスとしての発展とプラグインとしてのサステナビリティはある程度相関関係にあることは、WordPressに関わる人は知っておいてもよいだろう。
バージョン7がリリースされ、予告通り機能がいきなりなくなったユーザーたちが混乱に陥っているようだ。レビューには星1つが連続している。