WordPressの現在のマイルストーンでは、「自動更新」が大きな目標の一つになっている。テーマとプラグインの自動更新は5.5ですでに実装され、残すところは「コアのメジャーバージョンの自動アップデート」となっていた。
自動メジャーアップデートの画面
コアのメジャーバージョンアップデート自体はすでに実装されており、定数を定義することで有効化できる。ただ、「定数を定義」というのが昨今のユーザーベースを考えると、「開発者向けの裏技」である。
// trueにするとメジャーバージョンもアップデート。
// デフォルトはマイナーバージョンのみ自動更新。
define( 'WP_AUTO_UPDATE_CORE', true );
5.6からはここに新しいUIを設定し、管理者がオン・オフを選べる画面が追加されることが予告されている。念のため太文字で書いておくと、WordPress5.6からコアのメジャーアップデート自動更新を管理画面からオンにできるがデフォルトで有効な自動更新はマイナーバージョンのみである。
makeブログによると、このエリアにはフィルターが用意されており、マイナーアップデート(デフォルトでオン)をどうするかなど、色々な設定を追加できるようになっているようだ。おそらく、ホスティング企業でmu-pluginsなどを追加するタイプのサービスを提供している事業者には役立つ設定である。
受託事業者からの反応
さて、この新機能は早速受託事業者から「このUI自体を非表示にすることはできないのか?」という意見が上がっている。クライアントに対してWordPressを構築する事業者にとって、自動更新はクライアントが「なにもしていないのに壊れた」と言い出しかねない要因の一つではある。現時点でも、「WordPress x.x.x が利用可能です!今すぐ更新してください。」というアラートを非表示にするハックを行っている受託事業者は多いだろう。
また、新しいUIのワーディングについても注意が必要だ。現在の表現 “Automatically keep this site up-to-date with regular feature updates.” だと、「通常の機能追加に関しては自動的に最新に保つ」という意味なので、「WordPress 5.5が勝手に5.6になること」だとはわからない。世の中には「わからないけど便利そうだからオンにしておこう」という勇敢な人もいるので、チェックしてしまうことはありえるだろう。
筆者の運営するKunoichi Hostingでは人力でメジャーアップデート(ステージングで試してから商用で更新)を行っているが、それはもちろん保守費用の中に含まれている。保守契約などを結んでいない事業者にとって、自動更新は単にサイトが壊れるリスクでしかないのかもしれない。
新機能へのフィードバック方法
WordPressコミュニティのメッセージは「常に最新版を利用してサイトを安全かつ便利に保とう」なのだが、受託事業者とはやや温度差があるようだ。WP TAVERNの記事によると、自動更新自体に対してはネガティブなフィードバックの方が多いらしい。自動更新がうまくいってもなんとも思わないが、100個管理しているクライアントのサイトのうち1つが自動更新で真っ白になったら恨みを募らせる受託事業者もいるだろう。筆者はこれをUbuntu異常なからあげ問題と呼んでいる。
もちろん、WordPress 5.6に対してもフィードバックは可能なので、makeブログの記事にコメントをするか、チケットにコメントをしてもよいだろう。