去る4月9日から3日間にわたってインド・ムンバイで開催されたWordCamp Asia 2026に参加してきたので、そのリポートを行いたい。
インドはWordPressミートアップが頻繁に開催されている都市であり、WordPressコミュニティの活動が盛んだ。ただ、筆者がインドにいって抱いた印象は「とにかく人が多い」であり、WordPressがとくに人気なのか、それとも人が多いからコミュニティが大きく見えるのかは区別がつかない。なんとなく、後者なのではないか、という気がする。
そして、当初は3,000人の参加を目指しており、もしこれが実現していればフラッグシップイベントとして最大の参加者を誇ったことになるが、残念ながら参加者は2,281名と目標を下回った。参加者の内訳を入手できていないのだが、ローカルの参加者が大かった印象である。また、これまでWordCamp Asiaでのみ定期的に再会していた台湾・タイなどのアジアコミュニティメンバーもあまり目にしなかった。
WordCamp Asia 2026 Mumbai ハイライト
以下、会期中に注目された主要な論点と筆者が抱いた感想を挙げる。
- マット・マレンウェグが最後のQAセッションを欠席! ムンバイには到着していたが、体調を崩したようである。
- 次回のWordCamp 2027はマレーシア・ペナン島。首都のクアラルンプールには及ばないが、第二の都市でリゾート地としても有名。年金生活者になった日本人がリタイアする場所として有名だそうだ。ストリードフードも充実しており、観光を楽しめそうだ。
- WordCamp Asia 2027のグローバルリードとして男木島の額賀順子氏が就任。
- WordCamp IndiaがUS, Europe, Asiaに次ぐ4つ目のフラッグシップイベントとなる。理由は不明だが、人口比(インド14億人/世界83億人)を考えると不思議なことではない。
- インドはビサを取るのがこれまでの国でもっとも大変だった。それもインド以外の参加者が目立たなかった理由かもしれない。WordCamp Asiaでは「ビザの取得の容易さ」もホスト都市の選出条件だったが、以前お伝えした通り急遽決まったので、ビザの部分はスキップされたのだろう。
- 日本人登壇者は筆者を含めて5名。日本のコミュニティのグローバル進出も当たり前になってきたようだ。
- Contact Form 7の三好氏が同プラグインのFeature Fleeze(機能凍結)を発表。新しいプロダクトに注力するようだ。
- わぷーの作者カネウチカズコ氏が登壇。一緒に写真を撮りたがる人が多く、ほとんどアイドルのような扱いだった!
- スポンサーブースを眺めるかぎり、やはり生成AI関連のプロダクトを推しているようだった。ElementorのAngie(エディター上のチャットでページを構築してくれる)やPressableのMCP Serverなどが印象に残った。まだ試していないのだが、可能であればレビューをしたいところだ。
4/11のセッション2日目で筆者は登壇した。タイトルは”One Person Maintains 30+ WordPress Plugins” というもの。1人で大量のプラグインをメンテナンスするときに生成AIをどのように活用するのか、という議題である。
セッション終了後、たくさんの人が挨拶をしにきてくれたので、わりと好評だったのではないだろうか。機会があれば日本語版もやってみたい。
スライドはいまのところこちらで公開している。
個人的ハイライト
さて、筆者は今回のWordCamp Asia 2026の開催日程が子供の入学式と丸かぶりしており、4/10(金)に入学式を終えてから成田に直行という強行スケジュールであった。ムンバイ到着は深夜1時。ホテルにぜんぜん辿り着けない(1階と2階でホテルの入り口が違うという鬼畜仕様)というトラブルに巻き込まれ、スタートから前途多難であった。
アジアのどの国でも思うことだが、インドのGDPは日本より上の世界4位とはいえ、貧富の格差が著しい。コンベンションセンターの周囲も工事中の箇所が多く、空港周りのエリアは窓さえないあばら屋も散見された。
WordCampで提供された食事はインド料理中心。筆者はワクチンを二種類(A型肝炎・腸チフス)打って万全の体制で挑んだ。たくさんの種類の料理が提供され、満足度が高い。朝食も用意されていた。
ストリートフードはほとんど食べていないが、ムンバイ最後の夜に食べたドーサ(クレープみたいなもの)は非常に美味しかった。
アフターパーティーではお酒も出たが、それより印象深かったのはインド人のエネルギー。DJが大音量で音楽をかけ、3時間ずっと踊っていた。日本のテック系のイベントではお目に書かれなさそうなシーンであった。
インド人は英語をよく話すが、実のところ普及率は10%程度と言われている。単語ベースで観光客とやりとりする程度の英語はもっと普及しているが、会話ができるレベルになるともっと少ない印象だ。裏を返せば、WordCampで会うような人たちはインドではエリートなのだと言えるかもしれない。
野良犬が多く、コンベンションセンターの敷地内にも犬がいたのには驚かされた。しかし、これはインドの宗教観にみられる「殺生をよしとしない」という考えの結果かもしれない。日本で野良犬が少ないのは保健所で殺されてしまうからである。
そして、WordCamp終了後はガンジス川を見にバラナシへ。ムンバイのコンベンションセンターはいうなれば「東京におけるお台場」のような場所で、商業施設ありきで作られた街並みである。このバラナシで筆者ははじめて「インドの街」を見たのだが、すごかった。
まず、とにかく人が多い。強引な右折割り込み、赤信号は「注意して進め」状態。筆者は信号無視のシーンを動画にあわせて動画を回したのだが、空気を読んだウーバードライバーが停止してしまった。ちなみにこのドライバーは多少英語が話せたので、安倍晋三元首相やシヴァ神の妻パールバティーなどについて盛り上がった。『3×3 EYES』『孔雀王』などでヒンドゥー教の知識を身につけていたのが役に立った……と盛り上がってしまいそうだが、バラナシの旅はWordCampとは関係ないので別の機会にしておこう。
WordCamp Asiaも今回で4回目。果たして、日本が会場になるのはいつのことだろうか?
