WordCamp Asia 2025チームとWordCamp Centralの対立が明らかに

今年3月に開催されたWordCamp Asia 2025では次回の開催地がインドのムンバイだと発表された。が、どうもこの決定の経緯をめぐって、WordCamp CentralとAsia 2025の実行委員チームで対立が生じたらしいことをthe Repositoryが報じている。

報道によると、対立が発生したのは2026年の会場を決める経緯とチームの引き継ぎについてのようだ。

  • WordCamp Asia実行委員は2020年の準備からコロナ禍による延期を経て、2023年バンコク、2024年台北、2025年マニラと、なんとなく人がかぶっていた。
  • WordCamp Asiaの開催地は前年に決定するので、それまでに立候補する都市を決める。東京は2026年開催の立候補を目指していたが、会場交渉で難航したこと、#wpdrama が起こったことによって「バーンアウト」し、立候補を取り下げた。
  • 2024年11月(つまり、Asia 2025の3ヶ月前)に再度募集を開始した。が、#wpdramaの真っ最中だったため、立候補する都市はなかった。
  • Asia 2025の実行委員はWordCamp Centralに対し、2026をスキップするか、再度コミュニティに呼びかけるか、相談を行った。ほどなくして、2026年の開催都市がムンバイに決定された、とプログラム・マネージャーのロシオ・バルディヴィアから発表があった。
  • ムンバイはこれまでWordCamp Asiaに立候補したことがなく、正式な申請書を提出することなく決定した。Centralの言い分としては「開催されないよりマシ」とのことで、上意下達を認めたかたち。
  • WordCamp 2026のグローバル・リードはリーガン・カジ(ネパール)とインドの3名。この人選が多様性を欠くことをカジは認めている。筆者も発表をマニラで聞いたが、WordCamp South Asiaの印象を受けた。まあ、人口を考えるとそれはそれでいいのだが。
  • その後、WordCamp Asia実行委員のSlackで、前年までの慣習にならって2025年のチームが2026年のチームのサポートをするようHuman Madeのジョン・アン(日本でもお馴染み、Asia 2024のグローバルリード)が提案したところ、コミュニティ・チームのイソッタ・ペイラは「WCAsia 2025チーム内で公式な役割を担っていないにもかかわらず、あなたの努力と協力の意思に心から感謝しています」(すごい嫌味だ!)と回答し、2025年チームとは独立して2026年チームが仕事を始めるよう求めた。マニラのローカルリードであるJCはジョンが余計な口出しをしたのではなく、WordCamp Asiaの言い出しっぺの一人であるジョンに彼女から助力を求めたと証言している。
  • アンディ・ソウはかつてAutomatticに在籍していた高野直子氏のサポートを讃えつつ、過去のオーガナイザーが「洗い流された」と述べている。
  • そのほか、WordCamp 2025の期間中にもバルディビアにグローバルリードの戸田氏が公衆の面前で罵倒されるなど、行動規範抵触の懸念が呈されている。
WordCamp Asia 2026のサイト。まだできてない。
実はこのとき廊下で怒鳴られていた戸田氏。何一つThank Youではなかったろう。

以下、筆者の感想であるが、筆者は「2026年のWordCamp Asiaに立候補しようとしていた東京のチーム」に関わっていたので、経緯についてはある程度把握している。が、本稿執筆時点で書いて良いことの確認をとっていないので、詳細は差し控える。

この対立を総括すると、Automatticの息がかかったWordCamp Central VS コミュニティ主導のAsia実行委員である。

WordPressコミュニティのメンバーであれば、#wpdramaに付随する一連の出来事に対して「なんやお前」と一言いいたい気持ちはあるだろう。実際に去っていった人もいるし、一説では来月開催のWordCamp USのチケットはまだ200枚強しか売れていないらしく、これが事実であれば最盛期の10分の1である。これは事件がコミュニティにもたらした失望を考えると当然のことだろう。

コミュニティに対してAutomatticが支配を強めようとしている印象はコロナ禍開始の2020年ぐらいから強まっており、WordPressの広報・コミュニティ関連の重役に「誰やお前」という人が就任する、という事態が続いていた。日本のWordPressコミュニティの高野氏やWordPressのエグゼクティブ・ディレクターだったジョセファなどはAutomatticの従業員ではあったが、コミュニティで長く活動していたのでWordPressの仲間という印象があった。しかし、最近の「誰やお前」勢は最初から仕事としてWordPressに関わっている人が多い。これは仕事であれ趣味であれWordPressを愛用した結果コミュニティに参加するようになった我々(と、あえて書く)とは異なり、Automatticに雇われて仕事としてWordPressコミュニティに関わるようになった人々だ。実際、上記で言及したバルディビアもペイラもAutomatticの社員である。週40時間(1日8時間)をスポンサーされているので、要するに、コミュニティにかかわる仕事をしている。

ペイラは2021年から。プロフィールが長いのは「プロ」だからか。
ロシオは古株だが……

【追記】

戸田氏とトラブルになったロシオ・バルディヴィアは、古株のWordPressコミュニティメンバーで、もともとスペイン(セビーリャ)のコミュニティで長く活動していた。よって、「誰やお前」勢ではなく、古株ではある。スペインの高野氏、といったところか。その意味で、トラブルには何かしらの原因があったのでは、というタレコミをもらった。

もちろん、その可能性も否定しないが、邪推マンの筆者としては、現状のAutomatticが以前のAutomatticのようではなく、そこで働く人々もかつてのようではなくなってしまった、という可能性もついつい考えてしまう。the Repositoryの記事では戸田氏がコミュニティ・チームへインシデントとして報告を行ったとあるが、「返事が一週間ぐらい来ない」「このインシデントを処理しているのが当のロシオだ」(ジョン・アン)「いや、ちゃんとロシオ以外の人が処理した」(メリー・ハバード事務局長、前のジョセファのポジションにいるAutomattic「誰やお前」勢)などなど、双方の意見が食い違っている状態だ。この件に関しては、誰が悪いと断定せず、全員悪人と仮定しておくのが心理的に安全だろう。

【追記ここまで】

ワシの方が先輩やぞ!

結局のところ、マットが引き起こした#wpdramaはコミュニティにも圧力を強めており、「WordCampで結果を出せ」と言われた社員たちがプレッシャーによって廊下で怒鳴ったりするのだろう。

WordCampはコミュニティの重要なツールではあるが、フラッグシップイベントの一つであるAsiaに対して影響力を発揮しようとするAutomatticの行動が良い影響をもたらすかは疑問だ。今年の11月にはWordCamp Kansai 2025が開催されるので、そこでは本来のWordCampの姿が見られることだろう。

この件に関しては関係者を招き、ポッドキャストを久々に収録したいと考えているので、お楽しみに。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください