2022年2月24日に突如はじまったロシア軍によるウクライナ侵略は世界を驚かせた。戦闘はいまも継続中であり、ウクライナの首都キーウ(キエフとして人口に膾炙したが、現地語に読みに変わりつつある)に対するロシア軍への攻撃による被害状況が時事刻々と伝えられている。そんな中、キーウ在住のOSS開発者であるAndrey “Rarst” Savchenko(アンドレイ・サフチェンコ、Rarstはハンドルネーム)がウクライナ軍への寄付を求めている。
大意としては次の通り。
- 軍費増強はそもそも反対だが、ウクライナ軍へのサポートをしてほしい。
- WordPressとOSSでお金を取ったことはないが、もし寄付するつもりがあるなら、そのお金をウクライナ軍へ回してほしい。
こうした訴えを少なくとも筆者ははじめて見た。理由としては、次のようなことが考えられるだろう。
- WordPressをはじめとするOSS開発者が増えた。特に2000年代よりも2010年代により多く増えているはずだ。
- ロシアによるウクライナ侵攻は「超大国によるそれなりの国家への侵攻」であること。ウクライナは旧ソビエト連邦国家のうち2番目の規模の国家である。JETROによればIT産業も伸びている。つまり、OSS開発者もそれなりにいるような国が侵攻されたのだ。
- ITに強く戦火の絶えない国といえばイスラエルが想起されるが、どちらかというと優勢な側であるため、「OSS開発者もそれなりにいる国」が侵攻される側になったのは珍しいだろう。
願わくば、こうしたSNS上での訴えはこれで最後となることが望ましいのだが、国連安保理常任理事国のうち2つが領土的野心を隠さないまま手を取り合っていることを考えると、我々の世界は「冷戦」や「テロとの戦い」を経た新しい時代に入ってしまった。Capital Pの読者たちも、そう遠くない将来、銃は手にしなくとも、いままで培ってきた専門技能を銃後で使わなければいけない日が来るかもしれないことは念頭に置いておいた方がいいかもしれない。
まずはロシアによる懸命な撤退と早期の停戦を望みたい。
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