WordPress関連の市場としてもっとも大きいのがホスティング市場であることは何度かお伝えしているが、その中でもトッププレイヤーであるWP Engineが大型の買収を行なった。対象となった企業はこれまた同じくWordPressマネージドホスティング企業であるFlywheel。日本ではCapital Pでも紹介したローカル開発環境管理ツールLocal by Flywheelの開発元として有名だろうが、元々はホスティング企業である。
今回の買収額は「WordPress産業における最大の買収」という点以外は不明だが、おそらく以前お伝えした2億5,000万ドルの資金調達も大きく絡んでいる。今後も買収による事業拡大は続いていくだろう。
WP Engineは自らのサービスを単なるホスティング業者ではなく、デジタル・エクスペリエンス・プラットフォームと位置付けている。Capital Pがこれまで報じてきただけでもArray ThemeやGenesis Frameworkを買収していることもあり、テーマやローカル開発環境も充実させていく方針だ。今回の買収によって手に入れたLocal by FlywheelはWP Engineとも統合される予定。テーマ、プラグイン、セキュリティ、ローカル開発環境など、WordPress関連分野すべてに進出していく戦略なのだろう。
WP Engineはコミュニティマネジメントにも長けており、自ら伝えるとこによれば、Fllywheelと合わせて「400万ドル、2万時間」のコントリビュートを行なった計算になるようだ。
Over the past year, the combined efforts of the two companies have amounted to more than $4 million in financial contributions and more than 20,000 hours of time and talent devoted to advancing WordPress.
WP Engine to Acquire Flywheel
今後に予測される展開としては、大型エージェンシーの買収ではないだろうか。WordPress産業界でもっとも大規模かつ着実に成長しているホスティング業界の成長戦略は、以前お伝えしたSaasificationである。プラグイン・テーマといった単体の機能だけでなく、それらをインテグレートする仕事がサービス化されることで、エンタープライズ領域に大きく切り込める。
近年、WordPress業界ではAutomattic、WP Engineといった大企業に買収されることが一つのイグジットパターンと化している。我こそはと思う方は、英語の名刺を用意してエレベーターピッチの準備をしておこう。
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著伊藤 羊一
発行SBクリエイティブ
発売日2018年3月15日