AutomatticがオープンソースコミュニケーションツールMatrixの開発会社に出資

WP TAVERNが報じるところによると、WordPressの共同創業者Matt Mullenwegの経営するAutomatticがNew Vectorに4,600万ドルを出資したという。New VectorはMatrixというオープンコミュニケーションスタンダードの開発者たちが創業した会社である。

要するに、オープンソース版のSlackのようなものを開発できるツールに強みを持つ会社にWordPressのリーディングカンパニーが出資したような形だ。

Matrixとは?

Matrix自体は分散型(decentralized)のコミュニケーションプラットフォームで、メッセージング、暗号化、VoIPなどのコミュニケーションのための技術の集合体のようなものだ。ソフトウエアというよりはもう少し低レイヤーの集合体といってよいだろう。LINEやFacebookメッセンジャー、Slackなどのツールを作るための技術基盤をオープンソースで提供している。

パッとわかりやすいのは、そのブラウザ実装であるRiot.IMで、これは要するにSlackクローンである。

スマホアプリも提供されているようだ。

“decentralized”というのは最近のオープンソース界隈でよく聞かれる用語で、わりと最近流行ったものとしては、Mastdonなどがある。特定のSNS企業が強くなりすぎることはやはり社会的に問題があるということで、オープンソースのオルタナティブが提供されるわけだ。類似のパターンとしては次のものがある。

既存サービスオープンソース
Facebookdiaspora*
TwitterMastodon

Automatticが買収した理由

AutomatticはWordPress.comというブログサービスを運営しており、このサービスとの親和性を高めるために出資したようだ。そのうち、WordPress.comのなんらかのプランを利用していると、専用のRiotなりを使えるようになるのだろう。

CMSが成熟し、コンテンツ発信の民主化は達成された。しかしそれは「陳腐化」でもあり、ビジネス上は次の進化が必要になる。コミュニケーションツールの隆盛(e.g. iPhoneのSafariは知らなくてもLINEは知っている)を鑑みると、WordPress.comのようなブログツールがコンテンツだけでなくコミュニケーションをもたらす方向に進化するのは悪い投資ではない。

Slack、Discordといったチャットツールが流行する現在、コミュニケーションプラットフォームの民主化が進んだらどうなるのか、占ってみるのも面白いだろう。

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