新年早々、#wpdrama の続報が届いた。WordPress共同創業者マット・マレンウェグの会社Automatticが “Aligning Automattic’s Sponsored Contributions to WordPress” と題するリリースを発表。直訳すると「AutomatticがスポンサーしているコントリビューションをWordPressの基準にあわせる」といったところだ。今後は社員によるWordPressへのコントリビューションを減らし、自社製品(WordPress.comやWooCommerce)の開発に注力するとのこと。理由としては挙げられているのは以下。
- WP Engineに訴訟を仕掛けられたことでお金と時間を奪われている。
- WordPressの「コミュニティ」(あえてカッコをつけている)からも攻撃を受けているし、従業員を守る必要がある。
- WordPressにたいして貢献していない企業と同じレベルまでコントリビューションのレベルを落とす。
- WP Engineに対してそうしたように、Automattic自社製品の開発も「貢献」だと「コミュニティ」はみなすべきである。
実際、Automatticのコントリビューションは多く、WordPress 6.6へのスポンサード・コントリビューションの53.1%を占めている。日本のLOOS Inc.(Swellの会社)がGoDaddyの次というのは興味深い結果で、浜野氏による。浜野氏は個人単位だとランク2位だ。
Automatticのコントリビューションにおける特徴は、「人数が多い」という点だ。だが、多いとはいってもFive for the Futureに算出されているのは67人なのだが、6.6におけるコントリビュート数でいえば「15人の浜野さん」がいればAutomatticより多くなる可能性さえある。
果たしてこの兵糧攻め作戦でマットが失った民忠(=民衆の忠誠心)は戻るのかが気になるところだ。また、GitHubのリポジトリで日夜活動しているAutomattic社員がいなくなるとどれぐらいWordPressの開発が停滞するのかも気にかかる。Automatticの社員がいなくなったあとに他のコミッター・コントリビューターがどれぐらい活動するかの可視化もできるだろう。
ガバナンスの問題も忘れてはならない。そもそも、WordPressのガバナンスが不透明だというのは、オープンレター騒動の以前から密かに話題になっていた。Gutenbergのようにマット肝煎で始めたプロジェクトはガンガン進むのに、他の会社のコントリビューターが提案などしてもなかなか通らないどころか、見てさえもらえない。そうした不満を抱えたコミュニティメンバーが巻き返すチャンスとなる可能性もあるし、逆にWordPressプロジェクト自体がいったん停滞する可能性もあるだろう。
新機能として予定されていた管理画面刷新プロジェクトや同時編集機能などがどのような運命を迎えるのか、次回のWordPress 6.8がどういったリリースになるのかなど、状況を見守りたい。
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