WordPress.org ハンドブックにAIガイドラインが公開された。主な内容として「GPL遵守」「AIスロップの禁止」「AI利用の透明性」「メンテナーの時間の尊重」が掲げられている。
内容は主にWordPress(とくにCore, Gutenberg)へ貢献する際のガイドラインであり、どちらかというと防衛的な内容になっている。「プルリクの前にテストが通っていない」や「コピーしたコードのライセンスがGPL準拠かどうかわからない」は何も生成AIに限った話ではない。コードを見ただけで「ペロッ、これはGPL違反!」とわかる超人は少ないはずだ。
ガイドラインが公開された背景としては、おそらく「AIで作った長大なプルリクエストのレビュー」が増えつつあり、それらに以下のような特徴が散見されるのだろう。
- 出力結果を理解しないまま、レビューなしでプルリクエストを送信する
- 他プロジェクトのコピーによって機能追加をする
- ハルシネーションによる存在しない関数への言及
- 画像などのアセットが生成AIによって作られ、著作権的にクリアではない
- AIを利用したにもかかわらず、開示しない
たしかに、筆者も生成AIで作られた膨大なコードのレビューを求められることがあるのだが、そういう場合はあまりやる気がでない、というのが正直なところだ。その意味で、WordPressのコントリビューターたちが無制限なAIでの貢献に補助線を引いているのは頷けるところでもある。
要するにこうなるのを防ぎたいのだろう。
- イシューリストの作成(人間による要望)
- 生成AIでのプルリクエスト(膨大になる可能性がある)
- レビューによる承認(人間が担当、最大のボトルネック)
その一方で、生成AIの活用でもっともレバレッジが効くのは次のような仕組みだ。
- 人間が要望を生成AIに伝える(大まかな設計)
- 生成AIによるイシューリストの作成(詳細要件の定義)
- 生成AIでのプルリクエスト作成(膨大になる)
- 生成AIによるレビュー(膨大でも問題ない)
- 人間によるリリースの承認(承認というか、ただ責任をとる)
後者の場合、人間に求められるのは「何が欲しいか」を明確に定める要件定義能力と「どうなったら完成とみなすか」の責任モデルを作ることになるだろう。いまのところはWordPressの生成AIガイドラインは防衛的な内容にとどまっているが、今後はコードレビューによるプルリクエストのマージ以外の責任の取り方が必要になってくるだろう。
とはいえ、上記のガイドラインは基本的にWordPressの公式プロジェクトについてものである。筆者が孤独に開発しているプラグインについては「誰もレビューしていない」という状況である。その場合、生成AIのレビューがあった方がはるかにマシだろう。
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