先日、WordPressに多数のプラグインを公開しているモンキーレンチの北島氏が新しい100%GPLのテーマを開始した。
書きました。/ 100%GPL のメディア/ブログ向け WordPress 有料テーマ Snow Monkey を公開したので、実現したかったことや技術的なことなどいろいろ https://t.co/HuLouSrBqK
— キタジマタカシ?Snow Monkey 開発者 (@inc2734) October 10, 2017
このエントリーの中で、次のような一節があった。
でもネット上を見回してみると、有料テーマ vs 無料テーマみたいな記事が結構あって、どれもこれも有料テーマが良いと書いてある。
これは英語圏でも同様なのだが、筆者は海外の有料テーマ作者からそのカラクリについて聞いたことがあるので、その理由を紹介したい。
理由1. まとめ記事は人気がある
WordPressに限らず、まとめ記事、比較記事は人気がある。その事実をそのまま体現したNAVERまとめというサービスが存在することがなによりの証拠だ。また、あなたがアフィリエイト業界にある程度詳しいのなら、クレジットカード比較や引っ越し比較などのサイトを作って収入を得ている人がいることもご存知だろう。
どんなサービスでも、それが勢力を拡大している間は初心者の数が一番多いし、そうでなくてはならない。その初心者がWordPress.orgの公式テーマリポジトリにではなく、Googleに「wordpress テーマ おすすめ」と尋ねるだろうことは容易に予想がつく。
理由2. 有料テーマにはアフィリエイトがある
さて、北島氏のブログでも指摘されていたことであるが、ThemeForestのようなテーマ販売サイトはアフィリエイトサービスを用意している。
たとえば、 “Top 10 Most Popular Premium WordPress Themes of 2017” という記事の “MORE INFO/DOWNLOAD” をクリックすると、ThemeForestに飛ばされる。
こうした記事で10個のテーマが紹介されていたら、大抵はアフィリエイトリンクである。ブログ運営者としては、買ってもらわなければ記事が無駄になるので、なるべく買ってもらえるような紹介をする。「○○というテーマはクソです!」という記事を書いても売り上げにはならない。
それとは逆に、そうしたアフィリエイトサービスを利用していない場合は「海外テーマは危険なのでやめましょう!」という記事になりうる。アフィリエイト収入は捨て、まとめ記事によるPV収入だけを残す。
筆者が有料テーマデベロッパーから聞いた情報では、ThemeForestの全テーマ売上の30%がこうしたブログ記事経由の販売だそうだ。そう考えると、エコシステムとしては非常にうまくまわっている。
結論
本稿で解説したかったタイトルの答えとしては「その方が儲かるから」である。
無料のテーマをいくら宣伝しても儲からないのでほとんどの人が何も書かないが、ThemeForestの有料テーマを宣伝すると儲かるので、誰かが何かを書き、一生懸命宣伝する。こうした闘争を一定数の人々が5年間続けたとすると、「有料テーマを褒める記事ばっかり」という事態が訪れる。
それぞれの記事の作者には様々な思い入れがあって記事を書いているのだろうが、マクロな視点で見ると、こうした身も蓋もない事実に帰結する。
試論:100%GPLによるテーマ販売エコシステムは可能では?
さて、「悪貨は良貨を駆逐する」と言ってしまえばそれまでだが、およそ世の多くの生業にはそうした側面がある。
ところで、100%GPLによるテーマ・マーケットプレースというのは実はすでに存在しており、Mojo Market PlaceなどはWordPressテーマを100%GPLでリリースしており、ThemeForestと同様のアフィリエイトを提供している。(※MojoはWordCamp Europe 2017でスポンサーとして出展していた時期からサービスを変更しているので、いまどうなっているかは不明)
となると、日本でもこのようなマーケットプレースの構築は可能であり、あとは売り上げ勝負である。
100%GPLでコミュニティの支援を得た方が儲かるのか? それともライセンス違反上等で10個のプラグインをまるっとインクルードしているのだが見栄えだけはいいテーマの方が儲かるのか?
どちらが儲かるのかはやってみなければわからない。もし日本でもそういったクリーンなマーケットプレースがあれば、筆者はぜひ使ってみたいと思う。みなさんのご意見はどうだろうか。
そうそう、最後になったが、北島氏の新テーマSnowMonkeyも是非試してみてほしい。
コメントを残す