先日公開された「カスタムフィールド製造業ならびにWebアセンブラーという職業について」という記事には、大きな反響がありました。
今回のポッドキャストでは、Serverless Frameworkのコミッターを務めつつ、カスタムフィールド製造業界の住人でもある堀家隆宏さんをお迎えして、カスタムフィールド製造業についての話を2時間半にわたってお送りしています。
私(西川)としての感想は、カスタムフィールド製造業まだまだいけるわ、ということでした。前回の記事で、以下の言葉、
この秀逸な言葉は西川伸一が半ば自嘲気味にWordPressコンサルタントとしての自分の仕事振りを説明するために使っている言葉なのだが、Capital Pファンからも受けが良かった。
がありましたが、今回のポッドキャストを経てもろもろと議論をしおわった今、私は自嘲している場合ではなく、これを擁護する立場となって、業界人はむしろ誇らしく生きていくべきだと思うようになりました。価値あるものを作ってお金にしていくという当たり前のことでした。
カスタムフィールド製造業の様子
今回のポッドキャストの中で、カスタムフィールド製造業そのものについての認識にもだいぶ隔たりがあることが分かり、整理してみたいと思いました。
僕が思っていたこの業態の定義としては、以下のような感じになると思います。ポッドキャストの中で言及の合った、50万円〜300万円という価格帯も、以下の全部の作業が含まれるものとすれば、なるほどね、と思われるのではないでしょうか?
- カスタム投稿タイプが複数定義されている。つまり、コンテンツのタイプが普通のブログやシンプルな会社のサイトよりは多い。
- 各カスタム投稿タイプのうち、特に、投稿や固定ページ以外のものに、複数のカスタムフィールドが定義されている。フィールドの数は、少ない場合だと5個位で、多いものでは100個位。
- 実際にフィールドを埋める作業、つまりコンテンツを作る作業は、クリエイティブな作業というよりは、作成されているフォームへの入力作業であることが多い。
- その他、投稿タイプ同士だったり、ユーザーとだったり、カスタムタクソノミーとの紐付け、引用などもよくある。
- 検索、複数のフィールド(投稿メタとタクソノミが使われる)による掛け合わせ検索、絞り込み検索などもよくある。
- 仕事の流れとしては、以下を含む。
- クライアント企業のビジネスの内容、表示させるべき内容、検索をするのかどうかなどをヒアリングする。
- その結果にもとづいて、投稿タイプ、タクソノミ、投稿メタといういわゆるカスタム三兄弟をどう組み合わせるのかを考える。
- 管理画面の入力欄の作成(これと、フィールドの定義が同時に行われる)。
- その出力画面を作る(この段階で、別途行われてきたデザインやコーディングと組み合わさる)。
- 検索を作る。
- 検索結果や、トップやタクソノミーでの一覧ページを作る。
- 実際の入力を実施してもらい、若干の修正を行う。
ポッドキャストの中でわかったのは、ヒアリングや設計などの上流の工程を行う人と、実際に定義をしたり出力のためのテーマの編集をしたりする人がバラバラである場合もあるということでした。その場合、決まったものを実現するだけの作業であるなら、たしかに20万円からのスタートでもできるのかもしれないなぁ、と思います。
グーテンベルクとカスタムフィールド製造業の未来
ポッドキャストの中でも触れましたが、グーテンベルクという新エディタがやってきたとき、カスタムフィールド製造業はどうなるのか?ということについて、僕の予想を書いておきたいと思います。
- 基本的にはあんまり影響がない。
- カスタムフィールドと一言で言っても、実はいろいろな種類があり、特に以下の2つは大きく違う。
- スライドショーやテキストエリア、特定の場所に表示される画像、テーブルなどの、表示に関わる部分。これは、グーテンベルクのブロックに吸収される。コンテンツエリアに内包されるようになる(編集画面での見え方と実際の表側の画面での見え方も一致するだろうし、テーマでは
the_content
で一気に出力される)。 - 分類、価格、日付などの検索やソートに使われるデータは、引き続きメタボックスなのか、グーテンベルクの右側のエリアなのか場所はわからないけれども、カスタムフィールドに残る。
- スライドショーやテキストエリア、特定の場所に表示される画像、テーブルなどの、表示に関わる部分。これは、グーテンベルクのブロックに吸収される。コンテンツエリアに内包されるようになる(編集画面での見え方と実際の表側の画面での見え方も一致するだろうし、テーマでは
- 上記のうち、表示に関わる部分についてはグーテンベルクのブロックに取り込まれていくが、デフォルトでは実現できないもの、たとえばスライドショーだとか複雑な表組みだとかについては、プラグインからカスタムなブロックを追加できるようになる。
表示や見た目、レイアウトに関わる部分が取り込まれるのは当然といえば当然です。グーテンベルクの目的のひとつに、「TinyMCEだとHTMLが分からないお客さんには入力できないものがあるけど、それがちゃんとできるようにしよう」というのがあります。これまでは、TinyMCEでたとえばカラムを2つにしたいだとかいうときに、それができないから、仕方なくカスタムフィールドを定義して、そこに入力すれば表側のHTMLが完成するようにしていたわけですが、これが必要ではなくなります。
それとは別に、メタっぽいメタ、たとえば日付やSEO系のテキストなどについては、引き続きカスタムフィールドとして残るし、そもそも何をどう使うのかを考える作業だとか、検索をするところだとか、フロントを作り込むところなどはなくなりません。
したがって、グーテンベルクのよいところを取り入れつつ、よりよいものを作っていくという形になるのではないでしょうか。
カスタムフィールドの作成に使われるプラグイン
ポッドキャストの中で触れたプラグインをいくつかご紹介します。
- Home – Pods Framework: これは便利そうです。次回からこれを使いたいと思っています。
- humanmade/Custom-Meta-Boxes: Human Made で開発・利用されているものです。詳しく見てみたいと思います。
- Custom Field Suite: 僕も使ったことがあります。
- Toolset Types: これも一度利用したことがあります。
- Smart Custom Fields – モンキーレンチ: 北島さんのプラグインです。
- tarosky/tscf: CapitalP メンバーの高橋さんが作成しているプラグイン。
他にもおすすめのものがありましたら、お知らせください。
“カスタムフィールド製造業界の現場から。ゲスト堀家隆弘”への2件の反応
最近はTypeRocketが気になっています。
https://typerocket.com/
紹介ありがとうございます。これは製造業界よりもう少し上級のフレームワークですね。Gutenberg時代を生き残れるか?