WP TAVERNによれば、WordPressに同梱されるプラグインHello Dollyの歌詞が女性蔑視だという指摘が出ているようだ。すでに修正のためのチケットも上がっており、議論が続いている。問題となっている歌詞は次の2点。
Find her an empty lap, fellas
Find her a vacant knee, fellas
そもそもHello Dollyとは?
Hello Dollyはルイ・アームストロングの歌”Hello Dolly”の歌詞をダッシュボードにランダムに表示するプラグインである。その機能自体には意味がなく、プラグインがどのように動作するのかを見せるためのサンプルとして同梱されている。なぜルイ・アームストロングなのかというと、WordPress創業者のMatt Mullenwegがジャズ愛好家だからである。
以前も歌詞のコピーライトについて問題になったことがあったようだが、ここにきて再度女性蔑視的だという理由で歌詞の削除を求める声が上がっているのは、ハリウッドに端を発した #metoo 運動のような反セクハラ運動と無縁ではないだろう。
なお、”Hello Dolly”は同名ミュージカルの劇中歌であり、久しぶりに帰ってきたヒロインのドリーを迎え入れるシーンで歌われるようだ。筆者は肝心の映画を見ていないのでコンテキスト(=文脈)がわからないのだが、歌詞の意味を文字通りに取ると「彼女のために空いている膝を見つけてくれよ」という意味になる。”lap”の俗語的な言い回しと取り「彼女に空いている席を見つけてくれよ」という意味合いに訳しているサイトも見つかった。前節の歌詞が”So take her wrap, fellas”なので、その節と韻を踏むような言葉”lap”をわざわざ使っているのかもしれない。
解釈がなんにせよ、曲が作られたのは1965年、マルコム・Xが暗殺された年である。現在と照らし合わされると不適切な歌詞も歌われようというものだ。
議論をざっと見ていると、歌詞の削除に肯定的な人が多い様子。総意としては、よりInclusive な(=包括的な、多くの人を迎えいれられる)コミュニティを目指すWordPressとして、女性蔑視的な歌詞を同梱するわけにはいかないということなのだろう。
あなたの意見は?
筆者は小説を書くので、歌詞の削除自体には反対だ。もし筆者が作詞者のJerry Hermanであれば、勝手に改変するぐらいなら含めてくれるなと言うだろう。時代の趨勢を鑑みるに、女性蔑視的な表現を排除すること自体には賛成だが、作詞者の尊厳を無視して死体を切り刻むようなことをするぐらいなら、Hello Dolly自体をコアから削除すべきというのが筆者の考えだ。
最近の世界的なトレンドとも無縁ではない、ちょっと珍しいWordPressニュースをお伝えした。ぜひ皆さんのご意見も伺いたい。
“Hello Dollyの歌詞は時に女性蔑視的なので削除すべきか”への1件の反応
>プラグインがどのように動作するのかを見せるためのサンプルとして同梱されている。
目的がこれならば、「Hello World」プラグイン(いろんな国の挨拶を表示)とかでいい気がします。
>曲が作られたのは1965年、マルコム・Xが暗殺された年である。現在と照らし合わされると不適切な歌詞も歌われようというものだ。
私は日本の演歌が好きですが、原曲を知らない人相手に、歌詞だけを伝えたりすると、ぎょっとされることも多いです。
>よりInclusive な(=包括的な、多くの人を迎えいれられる)コミュニティを目指すWordPress
コアな部分でないならば、時代に合わせて変わっていく柔軟性が必要という、高橋さんの意見に全面的に賛同します。
初めてのコメント、小目汚し、失礼いたしました。m(_ _)m