先日もWP EngineによるFlywheelの買収をお伝えしたばかりだが、今度はCRMサービスのHubSpotがWP Engineとの協業を発表した。HubSpotのリリースによると、同社のサービスであるHubSpot CRMとWordPressを連携するためのHubSpot plugin for WordPressを強化していく方向のようだ。
CRMとは?
あまり縁がない方もいるかもしれないが、CRMについて説明しておこう。これはCustomer Relationship Management(顧客関係管理)のこと。多くは顧客を「リード」や「コンタクト」といった単位で管理し、取引や案件、プロジェクトといった軸を元にその進捗を管理できる。
最大手としてはSalesforceなどが知られるが、AdobeグループのMarketoや今回紹介したHubSpotも含め、多くは単なるCRMツールではなく、マーケティングのための総合サービスを展開しているところが多い。
どこもそうだが、顧客の管理は単にWebサイトのトラッキングだけではなく、メールでの商談、チャット、広告でのリターゲティング、オフラインイベントへの参加などなど、様々な接触点がある。現在のCRMサービスの多くは、こうしたマルチチャネルでの分析を強みにしているようだ。BI(ビジネスインテリジェンス)つまり、見える化の機能も充実していることが多い。
こうしたマーケティングツールに共通していえることは、「結構高い」ということ。月10万円〜というのは安い方で、付随サービスをつけていくことで従業員一人当たり100万円〜というケースもある。Slackの有料プランが爆安に見える価格帯だ。HubSpotはその中でも結構安い方だとは言えるだろう。
HubSpotの提供するサービスとWordPressの親和性
さて、HubSpotはこの発表のかなり前に「HubSpotを使用せず、WordPress内でインバウンド マーケティング プラットフォームを構築する方法」という記事を発表している。FrankenSpotというコンセプト(つぎはぎの怪物フランケン+HubSpot)を紹介しているので、やや煽り気味の感は否めないが、それによると、次のようなサービスがHubSpotの全体像になる。
- CMS
- アクセス解析
- フォーム・チャット
- ホスティング
- SNS管理
- メールマーケティング
- リード管理
- マーケティングオートメーション
- ツールのサポート
これらは確かにデジタルマーケティングにおいて有用なツールである。
ところで、筆者は実のところ、HubSpotの導入を本気で検討したことがあるのだが、若干WordPressと被っているところが多く、導入をいったん先送りにした経験がある。特にCMSはWordPressがあるので必要ないというのが正直なところだ。HubSpotのいくつかあるプランのうち、CMSの含まれるプランMarketing Hubがもっともオススメされているのだが、そのうちの大半がすでに実現できている。
今回の協業発表を機に、HubSpotプラグインが充実し、WordPressの利点を最大限に利用できるユースケースがもう少しまとまれば、検討することもあるだろう。CRMというのはWordPressにおいて未成熟な分野なので、ぜひとも期待したいところだ。
なんにせよ、今回の発表でWP Engineの邁進が印象付けられたことは間違いない。IPOも間近なのだろうか。
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