Elementorがクラウドサービスでホスティングを開始

ページビルダーとしてDivi, Beaver Builderと人気を競ってきたElementorがクラウドサービスを発表した。現在はベータテスターを募集中の段階。メールアドレスを登録しておくと、サービス開始の段階で連絡が来るはずだ。

Elementor Cloudの詳細

現在価格帯は発表されていないが、スペックを見るに、いわゆるWP Engineなどの「WordPressマネージドホスティング」と同じプランのようだ。

スペック的にはマネージドホスティングとどっこどっこい。

ちなみに、海外のマネージドホスティングのプランは訪問者数で区切っており、月間25,000ユーザーというわりと控えめな設定も珍しいものではない。日本のレンサバに慣れている読者の中には「高いな」と思う人も多いだろう。さくらのレンタルサーバーで100万PVぐらいいくサイトもざらではないからだ。

差別化要因としては、やはりElementorが入っているとういうことだろう。Elementorはプラグインだが、プロバージョンには「テーマビルダー」という機能がある。これを使うと、カスタムのヘッダーやフッターを管理画面から作成できるので、「テーマを使う」というよりは、「テーマを作る」プラグインだ。

要するに、「Elementorさえあればサイト作成に必要な要素はほとんど揃う」という状態であり、Gutenbergがフルサイトエディットで目指すのも同じ地点である。これにホスティングが加われば、「あとはサイトを作るだけ!」という状況になる。それがサービスの訴求点というわけだ。

WordPressビジネスの成功の一形態

Elementorは人気プラグインというよりは、「WordPressエコシステムでもっとも成功したモデルの一つ」である。なにせ日本でもElementorのサロンが存在する(嘘ではない)ぐらいで、なんなら明日あたりに医師の妻「まだカスタムフィールドで消耗してるの? Elementorで案件獲得すれば腸内の脂肪がドバッと!」というnoteがバズってもおかしくない状況だ。

そんなElementorがホスティング事業に乗り出したということはWordPress業界ではある程度予測されていたことだ。これは筆者の完全な推測だが、ホスティング事業というのは今日思いついて明日始められる類のものではないので、どこかと協業しているのではないかと思われる。日本でも次のような「テーマとホスティング事業者の協業」は見られる。

Elementor Cloudも事情は似たようなものだろうが、ブランディングを前面に押し出した形だ。

また、ElementorはElementor Expertsというサービスを開始している。Elementorは一個一個の案件自体よりも、それらの案件をこなしてくれるパートナーがElementorを使ってくれればそれでよいわけだ。また、ホスティングサービスが軌道に乗れば、パートナーがホスティングに客を連れてきてくれるわけでこんなハッピーなことはない。

もちろん、ホスティングは競合がたくさんいるので、そんなに簡単なことではない。たとえば、テーマ・プラグインマーケットプレースの雄であるTheme Forest は一時期ホスティングを始めていたが、いまはそれほど前面に押し出していない。

なんにせよ、Elementorのビジネスモデルをよく観察していると、WordPress業界での身の振る舞いが予測できるだろう。

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