Jetpack共有からtwitter連携が削除、APIの変更を受けて

イーロン・マスクの買収劇以降、twitterの度重なる仕様変更がテックニュースを賑わせる情景が続いてきたが、利用者の多いJetpackのtwitter共有がついに削除されることとなった。運営元のJetpackはtwitter(X社?)と協議を重ねてきたが、月次の利用料がユーザーにとても転嫁できないほど高額だということになり、twitter共有を廃止する決断に至ったようだ。この経緯はAutomatticのブログ “Why Twitter Auto-Sharing Is Coming to an End” に綴られている。

twitterは最近APIの利用規約を大幅に変更し、その価格体系が「あまりに高額だ」として話題になった。もっとも高額なプランは月間21万ドル、つまり年間で日本円にして3億5千万近い費用になる。Jetpackもおそらくこのレンジで、水面下で交渉を続けたものの、決裂となったようだ。日本でも「リツイート直後のツイートを表示するやつ」やtwilogなどのサービスが終了もしくは凍結状態になっているが、ついにAutomatticも同様の決断に至った模様。

Jetpackの共有機能はもともとAutomatticのブログホスティングサービスに付随していた機能で、ブログ公開時にあわせてつぶやきを予約投稿できる便利なものだった。この機能は一度Automatticのサーバーに集約され、Jetpack Webアプリとして投稿される仕様になっている。つまり、WordPress.comのユーザー+Jetpackユーザーの合計分をAutomatticがAPI経由で公開していたわけだ。それなりの数になるので、金額も高かったのだろう。

Automatticほどの巨大金額が「割に合わない」と判断する額なわけで、では他のクライアントも気軽に払えるかというと、そういうわけでもなさそうだ。そもそもtwitter APIを利用する側のモチベーションとしては、「無料で利用できる」というのがスタート地点にあり、マネタイズできるかどうかはともかく、twitterとの相互作用によって巨大なインターネット環流を起こせるかもしれなかったから多くの人が利用したのである。そうではないとすると、そもそもAPIを利用するモチベーションはなくなるので、この負のフィードバックはtwitterによくない影響を与えるかもしれない。もちろん、twitterの収益化を成功させたイーロン・マスクは慧眼だった、という未来もありえなくはないが。

筆者が公開しているプラグインGianismはtwitterのAPIを利用しているのだが、アプリの作成者はプラグインの利用者自身になるので、無料利用枠で行けそうだといまのところは思っているが、どうなるかはわからない。先週ぐらいからAPIの停止は始まったようで、筆者のところにも問い合わせが何件か来ているが、twitterのドラスティックな仕様変更が続くようだと、サポートも難しくなるかもしれない。なんにせよ、これほどの大手SNSでよくわからない仕様変更が続くのは筆者の経験でもはじめてであり、「そのとき歴史は動いた」感を覚えている。

ちなみに、Jetpackはtwitterをドロップするかわりに、InstagramとMastdonを新たにサポートする予定。ちゃっかり自社のプロダクトになったTumblrへの乗り換えを勧めている。

If your recent experiences with Twitter have left you dissatisfied, go take Tumblr for a spin — we hear it’s quite a party over there.

Why Twitter Auto-Sharing Is Coming to an End

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