KUSANAGIのプライム・ストラテジーが東証スタンダード市場に上場

日本のWordPress業界ではよく知られたプライム・ストラテジーが2023年2月22日付で東京証券取引所スタンダード市場に上場した。筆者の知る限り、日本のWordPress業界で上場したのは初の事例である。WordBenchなどのコミュニティにもよく顔を出していた中村けん牛、大曲仁、相原知子、大島義裕などの各氏が東京証券取引所で鐘を打ち鳴らす姿には感動あるいは嫉妬を覚えた人も多いだろう。

代表である中村氏の元証券マンという経歴から、資金調達や財務などにおいてアドバンテージがあったとはいえ、その道のりは平坦ではなかったはずである。2014年頃からWordPressの高速化設定ツールセットとしてKusanagiをリリースし、高速化に舵を切ったマネージドホスティングサービスへ移行していった。いまではWexel(モバイル表示高速化ツール)などの複合的なサービスを提供し、CMSのためのプラットフォームを提供する企業として知られる。分水嶺になるのはこのあたりのお知らせアーカイブだ。ストップ・ザ・ぼけっちというプラグインもいまはない。なにもかもが懐かしい。

なんにせよ、WordPressをコア事業とする会社が上場を果たすというのは、WordPressを飯の種にする筆者のような人間にとっては嬉しいニュースである。

さて、余談ではあるが、プライム・ストラテジー社のコーポレートサイトトップページを見ると、WordPressと一文字も書いていない(タイトルタグには書いてある)。プライム・ストラテジー社のコア事業は明らかにWordPressであるにも関わらず、なぜだろうか?

プライム・ストラテジー社のトップページ

特に確認していないので、これは筆者の邪推ではあるのだが、以下のような理由が考えられるだろう。

  • WordPressという単語がスーツを着た人(投資家・VC・上場準備に入ってくる財務の人)に響きにくい。
  • WordPressだけだとビジネス的に伸びない気がするので、「デジタルエクスペリエンス」「Webプラットフォーム」「パブリッシングなんとか」などの用語に変更する必要がある。

そういうわけで、もしあなたの知っているWordPress企業が次のような段階になったら「そろそろ上場するのかな?」と思って間違い無いだろう。

  • 役員や顧問に知らない人が増えた。
  • 投資家が増えて、資本準備金n億と書かれるようになった。
  • WordPressと言わなくなった。

今後もWordPress関連企業が上場することはあるだろうか? 経済の停滞が叫ばれて久しい日本だが、ビジネス的な成功を掴む会社がたくさん出てくることを祈りたい。

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