使うサイト数によって金額を変える販売方法とGPL。違反の見分け方。 WordPressプラグインの有料版販売で、サイト数によって料金が違うパターンをよく見ますが、それがどういう仕組でOKになっているのか、また違反の見分け方について説明しています。

 

先日の記事(管理画面の投稿・ユーザ・メディアなどのページを劇的に見やすくするWordPressプラグイン Admin Columns)に対して、ライセンスに関する質問をいただいたので、回答する記事にしたいと思います。

使うサイト数によって金額が違う販売方法は利用方法の自由を制限している?

質問は以下のものでした。

Admin Columnsプラグインの有料版で導入サイト数の制限の記載がありますが、これはGPL的にOKなんです?無制限があるから大丈夫?ってことです。この部分。

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料金は、サイト数によって分かれており、

1サイトのみ利用で59米ドル

4サイトまでの利用で119米ドル

無制限のサイト数での利用で199米ドル

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以前に、ACF PROがライセンス的に問題なのでスライドから削除して、と依頼があったのです。てっきり、サイト数の制限が原因だと思っていたのですー。

ご質問、ありがとうございました。

サイト数と料金が示されている料金表。
サイト数と料金が示されている料金表。下の注意書きにも注目。

サイト数は自動アップデートとサポートというサービスの対象となる数のこと

これに対して僕からのお答えは以下でした。

結論から言いますと、これはOKです。

  1. 1. サイト数に制限をかける際に、ソフトウェアのアップデートやサポートを売っているという立て付けになっている
  2. 2. ファイル群自体はGPLになっており、いくつのサイトに使ってもいいと間接的に書かれている(サイト数以上での利用を制限していない)
  3. 3. ACFは違う理由です(後述)

仕組み的に、料金表に書いてあるサイト数は、アップグレード版の受け取りやサポートをしてもらうことができるサイト数だ、という立て付けになっているわけです。

具体的には、FAQページの3番目の質問には以下のようにあります。

パーソナルライセンス(1サイト)を購入して、本番と開発の2つの環境で同時に使うことはできますか?

という質問に対して、

できますが、自動アップデートとサポートのためのライセンスは、ひとつのウェブサイトでのみ有効にできるということにご留意ください。

自動アップデートとサポートを2つ以上のウェブサイトで必要になる場合、ビジネスライセンス(4サイトまで)や開発者ライセンス(サイト数制限なし)へのアップグレードをオススメします。

とあります。

ここでいう自動アップデートというのは、管理画面からボタンをクリックすることでプラグインを自動的にアップデートして更新できる(普通のプラグインとは違い、wordpress.orgからではなく、Admin Columnsを販売している会社のサーバからの配信される)機能のことです。ライセンスコードが発行されて、サイトのドメイン名と結び付けられ、配信サーバ側でサイト数がカウントされるのだと思われます。

つまり、自動的にアップデートできる利便性や、わからないことや不具合があった時に問い合わせができるというサービスに対して課金が行われ、その利便性・サービスの対象となるサイトの数を制限している、という立て付けです。

ここで、私がおもしろいと思うのは、ライセンスの説明やFAQの質問と回答において、「自動アップデートとライセンスに対する課金です」とか「プラグイン自体はいくつのサイトでも使ってOK!」とは書いてないんですよね。販売者の視点に立てば「一番安いのを買ってあとは毎回コピーして使えるよ!」とはなかなか書かないわけで。そして、そう書かないということがGPLなのかどうかを確認する時に紛らわしさを生んでしまっているだなぁ、と思いました。

ライセンスの違反の見分け方?

では、どういう記述が違反になるのかということについても簡単に書いておきたいと思います。他にもポイントはあるのですが、今日の文脈での判断ポイントをご紹介したいと思います。

  1. 「このプラグインを2つ以上のサイトで使うことはできません」というようにソフトウェア利用の自由を制限する記述があったら明確にNG
  2. ソフトウェアがGPLであると記述があったらほぼOK(ほぼというのはGPLって言いながら違反する項目を挙げている場合が時々ある)

上記の2つは確認してもらいたいです。その他は、この記事の下の方にある参考リンクやその他のリソースを確認してください。

Advanced Custom Fields プラグインを例にGPL違反の例を見る

さて、Advanced Custom Fieldsというプラグインがあり、たいへん人気のものですがGPLのライセンスに違反しています。具体的には、ここです。

https://www.advancedcustomfields.com/resources/including-acf-in-a-plugin-theme/

上記のURLに、ACF Pro を無料のテーマやプラグインに入れて再配布してはいけないという記述があり、再配布の禁止をしているのでライセンス違反となっています。

プラグインのビジネスモデル

なんどか色んなところで書いたことがあるのですが、プラグインにはさまざまなビジネスモデルがあります。たとえば以下のような。

  1. 売り切り: 販売しておしまい。この時のGPLポイントはシンプルで何も制限しない、ということ。プラグイン自体が有料だったり、アドオンが有料だったり、プロバージョンがあったりする。
  2. サポートの販売: サポートを受け付けるとかサポートサイトへのログイン、フォーラムへのログインと投稿の権限付与、などを販売する形
  3. アップデートの販売: 多くの場合、最初に買ってから1年などの時間をきってアップデートを受ける権利を販売する形。年間フィーのような固定課金につなげる
  4. サーバーサイドのサービスの販売: Akismetのスパムコメント診断やセキュリティーCDNのネットワークへの課金、グローバルCDNの画像(などの)ホスティング、バックアッププラグインの確実なファイル転送と保存や復元、など。プラグインはWordPressとサービスを接続する役割を担う

他にもあるでしょうが、いずれもGPLで運用可能な形となっています。プロプライエタリで制限を自由にかけることができて、販売数の掛け算で商売するところとは少し違いますね。

参考リンク

WordPress と GPL の話はいろんなところで書いたり話したりしているので参考にしてほしいです。

 

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