Gutenbergプロジェクトの新リードが発表、その裏で亀裂も明らかに

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10月6日、Matt Mallenwegはmakeブログに”Gutenberg Phase 2 Leads“と題する短い記事を投稿した。それによると、GutenbergはPhase1でエディターを中心とする編集体験(editing experience)を提供することに注力していた。Phase2では、事前に発表されていた通り、そのブロックの概念をサイト全体(ウィジェット、カスタマイザーなどのすべて)に適応していくフェイズである。

問題は新しいリードとして発表された2人がWordPressコミュニティにとってあまり馴染みがない人だったことである。

まず1人目はAlexis Lloydで、彼女のWebサイトによれば、現在はAutomatticに勤務しており、以前はNew York TimesやAxiosなどのメディア企業でデザイン/UXのリーダーを勤めていたようだ。Automatticにジョインしたのは最近のようで、WordPress.orgのアカウントを取得したのもつい最近である。

まだorg歴2ヶ月のようだ。

もう一人はRiad Benguellaで、こちらも同じくAutomattic勤務。GutenbergのGithubリポジトリでは当初から活動しており、筆者は馴染みがあるのだが、WordPressコアのトラックではあまり活動がない。

まとめると、WordPressコミュニティにはあまり馴染みのないAutomatticの社員がいきなりリードとして抜擢されたことがAutomatticの社長によって通達された形になる。

コメント欄ではその点も指摘されており、国政選挙の落下傘候補ではないが、「外部の経験豊富な人を招き入れるのは歓迎するものの、経験不足の人をリードにして大丈夫か」という懸念も挙がっている。

また、John BlackbournやAaron Jorbinなどの古参コミッターからも、Phase1における透明性の欠如によってコミュニティにもたらされた混乱や亀裂についての反省を求める声が挙がっている。この新リード発表自体もそうだが、どこで決まったのかよくわからないという不透明な意思決定プロセスに不信を抱いている人は多いようだ。

アクセシビリティチームのリードが辞任

こうしたやや強引な「組閣」の影響か、リリースリードのRian Rietveldは9日に”I have resigned as the WordPress accessibility team lead. Here is why.“という記事で辞任を発表している。WP TAVERNでもニュースになった。

理由としては、Gutenbergによって突然Reactが採用されたことによって、アクセシビリティチームがほとんどGutenbergに関わることができなくなってしまったことがあげられている。筆者も詳細は追えていないのだが、キーボードテストやスクリーンリーダーなどの支援ツールを使う人々のためのテストがGutenbergでは十分に行えていないようだ。

さらに、彼女は明確に「政治的に複雑すぎたから、誰か他の人がやるべきだと思う」と書いている。

The last year, especially the last few weeks have been too politically complicated for me. It’s better that someone else takes the lead now.

RianはMattに向けて、次のようなメッセージも送っている。

To Matt Mullenweg I want to say: please take better care of your community, because WordPress is nothing without it. Cherish the people who dedicate their (own) time and who work very hard to make WordPress the best it can be. Don’t ignore or make fun of them, but talk to them, guide them, inform them. Don’t be disconnected from the community, be part of it.

「Mattさん、もっとコミュニティにやさしくしてね、WordPressの命はコミュニティだからね」ということだろう。この記事のコメントにはおそらく「政治的複雑さ」の主因であるMatt Mullenwegも”Thank you so much for your contributions, and the links you sent me in 2017.”と短いコメントをしているが、もっとなんかこう、他に言うことがあるんじゃないのかという気もする。

ともあれ、WordPressの成熟したコミュニティでは、あまり他者の決定に否定的な発言をする人は少ないのだが、今回ばかりは流石に議論が紛糾しているようだ。

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この記事を書いた人

高橋 文樹

小説家であり、WordPress開発者。WordCamp Tokyo 2016のリードオーガナイザー。山梨に土地を持ち、DIYで家を建てている。小説と家づくりとWordPress開発の3種競技があれば日本代表有力候補。Kunoichiというテーマ・プラグインマーケットプレースを作成中。

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