WordPressの共同創業者Matt MullenwegのブログやWall Street Journalなどで報じられているが、Automatticがメディアプラットフォーム企業のAtavistを買収したようだ。
Atavist is なに
Atavistとは、メディアを作成するためのプラットフォームである。WordPress.comやWixなどといったホームページ作成サービスとあまり変わらないのだが、いわゆるWebマガジンっぽいサイトを作成することに特化しているらしい。Atavistのドッグフーディング的な例としてThe Atavist Magazineというサイトがあるのだが、そちらを見ていただけると「あ、Webマガジン!」という印象を抱くことだろう。
なぜ似たようなものを買うのか?
さて、Automatticの発表によれば、Atavistを買収することで、そのサービスをWordPress.comやJetpackに統合していく計画のようだ。さらにAutomatticはLongreadsというこれまた別のメディアプラットフォームも買収しているので、こちらもその統合に含めていく様子。
こうした一連の買収は、Automatticにとっては新しいマーケットポジションを目指すことを意味している。「メディア」と一口に言っても、個人ブログに毛が生えたものから、アクセスだけは多いがオリジナル記事のないキュレーションメディア、老舗クオリティペーパーが運営するニュースサイトと多岐にわたる。どちらかというと、WordPress.comは個人メディアよりではあるし、大手メディアの場合はゴリゴリにカスタマイズして使うことが多いので、もうちょっとお手軽かつ本格的なレイヤーを狙っていくのだろう。ファミレスのチェーンがハンバーガーショップを買収するような、そんな感じだ。
ちなみにではあるが、日本でもこうした「メディアプラットフォーム」はいくつかある。筆者が仕入れた情報によると、Media Weaverというサービスが最近の出版系で強みを発揮しており、WordPressで大手メディアを作っている会社としのぎを削っているらしい。「文春オンライン」「東洋経済ONLINE」などの皆さんもよく知っている出版系メディアを構築しているといえば、「へーっ」となるだろう。実際にどんなCMSなのかは知らないのだが、業界に偏りがある(著名紙メディアのWeb版ばかり)ので、営業が強いのだろうか。
また、老舗のMovable Typeはあまり派手な話題を聞かないが使うところは使っているのだろう。コミックサイトのようにビューワー開発などの難しめな要件が絡むメディアでははてなの名前をよく聞く。筆者は小説家兼Web開発者という独特のポジションで生きているため、開発力のない大手出版社とIP(知的財産=キャラクターなど)のない開発会社が組んでなにかしようとしているところをよく目にする。
まとめると、日本でさえ様々なメディアプラットフォームがあるので、WordPress.com擁するAutomatticといえど、色々買収してマーケットを広げていくということだ。
我々WordPressユーザーとしては、この買収によってJetpackが変わることでその影響を受けることになるので、楽しみにしたい。もしかしたら、これら買収企業のエンジニア達がGutenbergの開発にジョインすることもあるかもしれない。また、編集フローの機能はWordPressが一番弱みとするところなので、そちらも期待だ。
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