著者である中島真洋氏からご恵投いただいたので「WordPress 仕事の現場でサッと使えるデザイン教科書」の書評を行う。
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本書の内容
本書は既存書籍の改訂版である。「仕事の現場でサッと使える」と銘打たれているように、プロ向けの書籍である。プロと一口に言っても色々あるが、主な想定読者は次の通り。
- フリーランスのWeb開発者
- 自社サイトの運営担当者
WordPressに詳しい人向けというよりも、仕事でWordPressを使うことになった人向けといった印象だ。目次をざっと眺めると……
WordPress設置からテーマ作成、管理画面のカスタマイズと広範な内容を取り扱っているが、プラグインを利用して機能拡張してくというノンプログラマブルな手法を取っているので、前提となっている知識はHTML+CSSぐらいである。
本書の利用方法は、たとえば自社のWebサイト制作を突然任されたWeb担当者がパラパラと眺めながら参照する、といったところだろう。
象徴的なのは「8-05 REST APIを利用する」のコラムで次のように書かれていることだ。
もし利用するときは「WP REST API – OAuth 1.0a Server」を利用するなどして、外部アプリケーション側の開発者と相談してください。
前掲書
これは実際の業務でもそのまま主張として使えそうなセリフであり、もし上司にいきなり「モバイルアプリと連携できないの?」と言われた場合にそなえて心の中でコピペしておきたいほどだ。
企業ホームページでありがちな「作り込んだ固定ページ」についても章が割かれている。まっすぐな心でド正論を突きつける某クルーズ船に乗り込んだ医師のような人であれば「テンプレートにコンテンツを書いちゃいけない」と言うだろうが、実際の現場では「page-example.phpにコンテンツを書く」といったことは当たり前に行われている。そう毎回ブロックを作ってもいられないのだ。
また、pre_get_posts
でのメインクエリ変更なども「現場あるある」ネタとして有用だ。
Gutenbergのブロック作成についても記述はあるが、React+JSXでブロックをゴリゴリ書くようなやり方ではなく、Capital Pでも紹介したBlock Labというプラグインによる開発方法が説明されている。実際問題、WordPressも理解していてReactもゴリゴリ書けるという人はほとんどいないので、現実的な解決作ではあるだろう。
こうした現場感ある章立ては、実際の業務で力を発揮するだろう。
著者について
中島氏は赤羽・ネパールミャンマーを本拠に活動するFlicClapの代表であり、WordCampやWordPress Meetupにもよく顔を出している。「ナカジマ」ではなく「ナカシマ」。誰かがブログ記事をパクった場合に通知してくれるCCCというプラグイン(いまは公開停止中)の開発者でもあり、著者としての実績は申し分ない。実は絵が上手く、ブログ着ぐるみ追はぎペンギンも人気だ。最近は更新されていないが……。
監修のロクナナワークショップは原宿でWebをはじめとする各種技術に関するワークショップを開催している会社。こちらの企業でもWordPressコミュニティに出入りしている人は多い。
終わりに
コミュニティに深いつながりを持つ著者の書いた本書は、現場感溢れるノウハウ満載のTips集である。ある日とつぜん仕事でWordPressを作って欲しいと頼まれて右往左往しそうなら、本書を手に取ってみてはいかがだろうか。
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